米国「経済回復速い地域ほどの感染拡大」の難題 このジレンマは政策決定者を悩ませる
[ワシントン 11日 ロイター] - 米経済は活動再開から1カ月の節目を迎えるが、景気回復のペースおよび継続性も、米国がコロナウイルスの感染を抑え込めるかどうかも、依然として不透明だ。
携帯電話の位置情報や従業員の勤務時間管理、週間失業保険申請件数といったデータは、景気回復が着実に進んでいることを示している。だが統計は州による違いが鮮明な上、経済活動の回復ペースが速い場所ほど感染が広がっていることを示す証拠もある。
こうした状況は、政策決定者が今後数週間で厳しい選択を迫られることを意味しているのかもしれない。
ムニューシン米財務長官は、新型コロナの感染が今後どのようになるにせよ、米経済を再び封鎖することはないと表明した。このため、公衆衛生上の不安と、厳しい感染抑止策の復活に対する忍耐力の低下を天秤にかける仕事は、州・地方政府に委ねられるだろう。
米国内は潜在的な勝者と敗者に分かれつつある
同時に、経済活動は急速に回復しているわけではなく、一律に改善してもいない。つまり米国内は、新型コロナ対応の潜在的な勝者と敗者にゆっくりと分かれつつあり、経済的影響を和らげるための緊急支援を追加すべきかどうかを巡る米議会の審議は、危うい綱渡りとなっている。一部の中小企業向け支援は既に期限を迎えつつあり、多くの労働者にとって、失業保険給付の拡充は7月下旬までの時限措置だ。
従業員の勤務時間管理を手掛けるホームベースが集計した中小企業のデータによると、事業を再開した企業は雇用が休業前の水準に素早く回復している一方、全国平均の雇用は低調にとどまっている。理由としてホームベースは、非常に多数の企業が事業を全く再開できていないと説明している。
調査会社マクロポリシー・パースペクティブのジュリア・コロナード社長は、人との接触が必要な職種では、経済的利益か健康かの選択を迫られる状況にあり、「こうした状況は長引くだろう」と話した。