大作を迅速公開「ソニー・ピクチャーズ」の信念 コロナ禍の劇場救いたいと「若草物語」封切り

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TOHOシネマズの営業本部 マーケティング事業部の近藤普一郎部長は「映画館は、館内の空気が外気と入れ換わる空調システムにより、法律に定められた基準をもとに定期的に換気を行っており、密閉した空間というわけではない。新型コロナウイルスの以前から、インフルエンザなどの感染症予防もしっかりしており、また、今回は前後左右に1席ずつの間隔を設けることで、密集、密接も避けている。三密を避けるだけでなく、さまざまな安全対策に取り組んでおり、これまで以上に安心して映画をお楽しみいただける環境づくりに努めていく」と呼びかける。

一方、「新作公開が軒並み延期され、観たい作品が上映されていない」という点については深刻だ。『るろうに剣心 最終章』『ミニオンズ フィーバー』『名探偵コナン 緋色の弾丸』といった大ヒット確実な作品が軒並み2021年に公開を延期した。『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』『STAND BY ME ドラえもん2』なども「近日公開」とアナウンスされたまま。映画業界は、ヒットが期待される大作が不足する状況になっている。

公開延期相次ぎ、大作不足に悩む

そんな中、新作のハリウッド作品として、いち早く6月12日から公開したのが映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』だ。19世紀を代表する女性作家オルコットの名作小説を、『レディ・バード』のグレタ・ガーウィグ監督のメガホンで描く。キャスト陣もシアーシャ・ローナン、エマ・ワトソン、ティモシー・シャラメといった豪華な顔ぶれで、2020年のアカデミー賞では6部門にノミネートされ、「衣装デザイン賞」を獲得している。

次女・ジョーをシアーシャ・ローナンが演じる (写真:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)

この決定を受け、映画館関係者がSNSで「長く続いた閉塞状況からの新作公開のお知らせは、新緑の芽生えのように感じる」「日常が少しずつ戻ってくるようでホントうれしい!  ポスターも速攻で掲出!」「営業再開後、徐々にではありますが新作の公開情報をお伝えする事ができてうれしい」「アカデミー賞レースをにぎわした本作から、夏興行への展望が開ければと思う」といった喜びの声が相次いでいる。

本作はもともと3月27日に公開が予定されていたが、3月3日には本作の公開延期がアナウンスされた。安倍首相が2月27日に全国の学校に臨時休校要請を出したことで『2分の1の魔法』『映画しまじろう「しまじろうと そらとぶふね」』といった子ども向け・ファミリー向け映画が公開延期を早々に決断していた。大人向けの映画の多くはまだ延期には至っていなかったが、本作の公開延期という決断は早かった。

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