内閣支持率が急落、浮上する秋のコロナ解散説 安倍チルドレンに渦巻く巻き添え落選の恐怖

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コロナ下での選挙となれば、「選挙活動の制限で新人候補は不利」(選挙専門家)とされる。ただ、いわゆる安倍チルドレンと呼ばれる3期生以下の自民若手議員は選挙基盤が脆弱で、安倍人気で勝ち上がってきた議員が多く、逆風にさらされれば「枕を並べて討ち死にする」(自民選対)とみられている。

コロナ国会で自民若手議員の執行部批判が目立ったのは、落選への恐怖からだ。「安倍政権との距離をとることで、巻き添えを避けたい思惑」(自民長老)とみられる。このため、若手の間には秋口解散への反対論が多い。「『安倍と共に去りぬ』では洒落にもならない」(当選3回議員)というわけだ。

一変しかねない「ポスト安倍」の構図

もちろん、選挙で自民惨敗となれば、選挙は安泰な重鎮たちの立場も危うくなる。ポスト安倍の構図も一変しかねない。二階氏や菅氏が秋口解散に抵抗することも想定される。安倍首相が党内の反発を振り切ってまで伝家の宝刀を抜けるかどうかは「その時点での求心力次第」(首相経験者)となる。現状では「解散を模索して墓穴を掘った海部俊樹元首相の二の舞」(同)ともなりかねない。

ただ、「首相があえて死に場所を求めて解散する場合はとめようがない」(自民幹部)との見方も多い。自民党の議席が大幅に減っても、過半数割れさえしなければ、自公政権自体は安泰だ。安倍首相が議席減の責任をとって退陣表明すれば、後継は両院議員総会での投票となる公算が大きい。そうなれば、安倍首相が後継者ともくろむ岸田氏への禅譲も可能で、石破政権誕生という「首相がもっとも恐れる事態」(自民幹部)は回避できる。

併せて、退陣後に最大派閥(現・細田派)の領袖となれば、2021年9月の本格総裁選でのキングメーカーにもなれる。ただ、「それこそがとらぬ狸の皮算用。『あとは野となれ山となれ』の史上最低の無責任宰相の烙印が押されるだけ」(自民長老)との声も多い。

国会閉幕後は事実上の政治休戦となるが、今年の夏は例年以上の猛暑が予想されている。勝負師を自認してきた安倍首相の最後の大博打ともなる秋口解散説が「真夏の夜の夢」に終わるかどうか。「すべてはコロナ次第」(自民幹部)というのが実情だ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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