日本企業は業績最悪期を脱し格付け安定化は進むが、力強い回復には遠い《スタンダード&プアーズの業界展望》


事業法人・公益事業格付部
主席アナリスト 小林 修

スタンダード&プアーズは、2010年の日本の一般事業会社の格付け動向について、安定化が進むものの、しばらくは全般的に格付けの下方遷移圧力が残りそうだとみている。

08年秋のいわゆる「リーマンショック」以降、世界的な景気の急速かつ深刻な悪化を受けて軒並み急悪化した日本企業の業績は、製造業を中心に09年4~9月期を底に最悪期を脱した感がある。しかし、国内をはじめとする市場の大きな先進国において需要の戻りは遅く、力強い業績回復にはまだ遠い。景気の先行きや、為替の動向等には不透明要因も多く、業績が一本調子で本格回復していくシナリオは描きにくい。

08年秋以降の世界的な景気悪化局面とその後の回復過程では、成熟化した先進国市場と成長を続ける新興国市場の対比、また環境対応製品の一段の需要増加といった構造的な変化も一段と明確になった。多くの業種が構造的にも大きな変革期を迎えており、需要の先行きに不透明感が残る中で、競争力や財務力の差とともに、変化に適応する力の差が個別企業の信用力格差の拡大にもつながっていく、とスタンダード&プアーズはみている。M&A(企業の買収・合併)や大型提携といった企業間の連携が一段と活発になる可能性が高いだろう。

格上げゼロに終わった09年の日本の事業会社、格付け下方遷移圧力はしばらく残る

スタンダード&プアーズは、08年8月以降、日本の一般事業会社の格上げ、もしくは「アウトルック」の上方修正をしていない。09年の格上げ件数はゼロに終わった。04年から08年半ばまでは日本企業の業績も好調が続き、格上げ件数が格下げ件数を大きく上回っていたが、08年秋以降は状況が一変し、特に09年の前半は格下げラッシュといえる様相を呈した。

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