「セクハラ失業した男」ウディ・アレンの大反論 自伝本めぐって再燃する「父と息子」の愛憎劇

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虐待をされた場所が「屋根裏だった」とディランに言わせたのは(実際には、その家の屋根裏は、とてもじゃないが子供が行ける状況ではなかったと、ウディとモーゼスは主張)、ある歌の歌詞に影響されていると、ウディは読む。不幸なことに、その架空の話は、ディランの中で事実として記憶されてしまったのだと、彼は考える。

ウディはまた、ミアが日頃から子供たちに肉体的、あるいは言葉の暴力を加え、洗脳を行っていたとも述べる。ウディ側についているモーゼスとスンニの体験談もあるし、ミアの数多い養子の中には、心の病にかかり、自殺をした、あるいは自殺を試みた子供が、ひとりやふたりではないのだ。

ローナンがミアの言い分を完全に信じているのも、ウディにしてみれば、洗脳の結果。スンニとの密会を発見した時、ミアは、当時4歳だったローナンの前で、「パパがスンニをレイプした」と言ったと、彼は振り返る。

破局後も、最初こそウディは決められたルールに従ってローナンと面会をしていたが、ミアの嫌がらせがあったり、監視付きだったことが不満だったりして、そのうちに面会は途絶えてしまった。自分のいないところで、ミアは自分のことをめちゃくちゃに言っていたのだろうと、ウディは想像する。

映画界にもはやウディの居場所はない

もちろん、ローナンは、そうは見ていない。『Catch and Kill』には母ミアもポジティブな形で登場するし、ハーベイの取材を始める前、また取材中、常にディランの気持ちを考え、相談したと、彼は述べている。

「#MeToo」が盛り上がる中、世間は、圧倒的にローナンの側に立った。ディランの涙ながらのインタビューを見れば、そうならないほうがおかしい。

そのタイミングで公開されたウディの『女と男の観覧車』は、それだけが理由かどうかは不明ながら、アメリカで大コケ。次に控えていた『A Rainy Day in New York』は、彼との契約をアマゾン・スタジオズが破棄したせいで、お蔵入りになる。同作に出演した俳優らのうち何人かが、「ギャラを性犯罪の被害者のためのチャリティに寄付する」と宣言したことで、ウディをさらにブラックリストに押しやった。

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