クラブマニア 最新事情~小倉編

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キャスター/小倉智昭

 片山晋呉モデルのドライバーは飛ぶ。ゴルフは道具を信条とするクラブマニアの間で噂はかなり広まっていた。
 「マスターズで上位に入れたのは、ドライバーを変えて飛距離が伸びたお陰」と、片山自身も語っていたのは確かだ。

その片山モデルが250本限定で発売になった。当然、クラブマニアの私もショップに走る。だが、時すでに遅くすべて売り切れ。どうやら予約販売のようで、店頭には並ばないらしい。クラブ情報にはダンボ耳の私としては大失態、1カ月かけて行けるショップを回ってみたものの、手にすることはおろか、目にすることすらできなかった。
 「新宿店でキャンセルが出ました」と電話があったのは、片山モデルが頭から消えかかっていた頃だ。それでもすっ飛んで行ってしまうのは私の習性で、2時間後には店頭でクラブを握っていたのが情けない。

従来モデルとほぼ同じ形状のヘッドに、片山モデルと書かれたシャフト。グリップの黄色と、ワインカラーとゴールドのツートンのシャフトは高級感がある上、どことなく限定モデルの趣がある。ただ、気になるのは破格の12万円の値段と、シャフトの硬さ。60過ぎの親父には手強いし、日頃、体を鍛え上げている片山プロと同スペックでは、宝の持ち腐れになると予想もできる。
 シャフトの硬さは1種類と聞いた時点であきらめればよかったのだが、大騒ぎして探した手前、断る勇気もなく、「片山も大柄じゃないしね……」などと自分を納得させて買ってしまった。

初打ちは練習場、カキーンとよい音を響かせてボールは上がる。今までより、ネットのはるか上に当たるのは飛んでいる証拠だ。仲間が驚いて寄って来ては、打たせろとかなりうるさい。彼らが使っても私同様、ボールの伸びは相当いい。そして、最近、ドライバーがやや不調のTプロまでもが参加。軽く300ヤード超えで、目が点になっている。
 「飛ぶっすネ。これ」。口からヨダレを垂らさんばかりに興奮し、「僕に頂戴」と無言の訴え。
 「使わなくなったら譲るよ」といつもなら言う私も、「限定で、もうないんだよね」と鼻高々になっていた。近頃は飛距離が落ちて、220ヤード位だったのが、うまくいけば250ヤードの期待がもてる。コースでのプレーが実に楽しみであった。

さて、コースではどうだったのか。250ヤードはフォローの2本だけ。5本に1本は10ヤードは先に行くが、あとは現状維持で、むしろ、後半になると硬く重い分だけ振れなくなり、ヘナヘナボールでスライスしてしまう。元気があり、疲れていず、暖かい季節という条件さえつけば、私でも飛ぶ片山モデル。結局はモデルに近いヘッドとシャフトの組み合わせで、新しいクラブを注文するはめになった。

キャスター/小倉智昭(おぐら・ともあき)
1947年秋田県生まれ。東京12チャンネル(現テレビ東京)アナウンサー出身。76年フリーに。現在は『とくダネ!』(フジテレビ系)や『嵐の宿題くん』(NTV系)、『小倉智昭のラジオサーキット』(ニッポン放送)の司会を務めるなど、幅広く活躍中。
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