日本株の「底入れ期待」はその通りになるのか 政策期待と需給改善で粘り腰、波乱の芽も

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3月23日、市場では日本株は先週で底入れしたとの期待が生まれている。都内の株価ボード前で17日撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

[東京 23日 ロイター] - 市場では日本株は先週で底入れしたとの期待が生まれている。時間外取引で米株先物が下落する中、粘り腰を発揮しているためだ。政府の大型経済対策への期待から、内需関連株を買う動きが目立つ一方で、個人投資家の買い出動も相場を下支えする要因として注目されている。ただ、新型コロナウイルスの影響はとどまるところを知らず、感染拡大の中心になった欧米が落ち着くまで波乱の芽が残りそうな状況だ。

週明けの東京株式市場は堅調な始まりとなった。上値については依然として慎重ながらも、米国をはじめ外出禁止令などの厳格な措置を打ち出す国が増えたほか、IOC(国際オリンピック委員会)が東京五輪延期の検討も含めた対策を発表と伝えられるなど、悪材料が重なる中で粘りを感じさせている。

輸出株劣勢、内需株優勢は自然の流れ

リーマンショックを上回る世界経済の悪化が懸念される中で、ソニー<6758.T>、トヨタ自動車<7203.T>など輸出関連株は軟調に推移しているが、内需関連株は鹿島<1812.T>、イオン<8267.T>、三菱地所<8802.T>、東急<9005.T>、東京電力ホールディングス<9501.T>など幅広い業種でしっかり。「経済対策の効果が大きいとみられる銘柄は、ここでは売りにくい。輸出株劣勢、内需株優勢は自然の流れだ」(国内証券)という。

実は、底堅い動きは前週からみられた。3連休前の19日、日経平均は前日比173円安、率にして1.04%の値下がりとなり、立ち会い中には17日の昨年来安値を更新したが、それまであった悲壮感はなかった。東証1部の騰落数をみると、値上がりが全体の52%にあたる1141銘柄と、値下がりの1001銘柄を上回ったほか、TOPIXが0.97%の上昇と3日続伸となったためだ。きょうは日経平均高/TOPIX安となっているものの、ここまでのTOPIXの日足チャートは底入れを示唆している。

その背景には日銀のETF(指数連動型上場投資信託)買いがあったことが見逃せない。日銀は19日、1日の購入額としては17日の1216億円を上回る、過去最大となる総額2016億円買い入れたと発表。この買い付けは、TOPIX型となるため、効果が大きかったとみられる。日銀は16日の緊急の金融政策決定会合で、ETFを当面、年間約12兆円増加するペースで購入することを決めたが、その通り、2倍の買い付けを実行したことで市場に安心感を与えた。

ただ、TOPIXが底堅くなった背景は、それだけが理由ではないという。先週に入り、成長性が期待されて昨年来買われていた高PBR(株価純資産倍率)銘柄に底堅い銘柄が目立つようになり「投機的に指数が上下に振れる中で、個別物色に変化がみられる。マーケットは冷静を取り戻しつつある」(野村証券・投資情報部投資情報二課課長代理の滝沢弘量氏)との指摘もあった。

他方、個人投資家の動向も注目されている。ある国内証券の営業担当者は「個人の動きは、追い証発生で退場を余儀なくされる投資家がいる一方、中長期狙いで現物を安値で買おうとする動きが出てきた」とした上で「これらの資金は本来臆病な性格のものであるため、この動きは見逃せない」と話す。

岡地証券・投資情報室長の森裕恭氏も「SQ(特別清算指数)を算出した13日あたりから、個人富裕層がキャッシュを窓口に預け、買う態勢を整え始めた。配当金の権利付き最終日までに、こうした大口の個人が買う可能性が高い」とコメントしていた。

もっとも、環境面に不透明感が漂う厳しい現実に変わりがない。「TOPIXでみると、日本株は底入れした格好。しかし、新型ウイルスに関して欧米が落ち着くまでは、波乱の芽が残り、本格的なリバウンドに向かうのは難しい」(キャピタル・パートナーズ証券のチーフマーケットアナリストの倉持宏朗氏)との声も聞かれた。

(水野文也、編集:石田仁志)

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