新型コロナ「検査不足」の日本が直面するリスク 世界随一の高齢国でなぜ検査は進まないのか

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2月29日に国内の症例数が3150人に達したと報告した韓国は、感染状況が深刻な大邱(テグ)などでドライブスルー検査を実施しているほか、香港では診療所が、自宅で検査をし、研究所に送付できる検査キットの配布を開始した。

「韓国が実施している検査数とほぼ同じ数の検査を実施していたら、実際の患者数はどうなるのだろうか。潜んでいて単に特定されていないだけの患者がどのくらいいるのだろうか」 と、首都ワシントンにあるシンクタンク、テネオ・インテリジェンスの日本政府専門家であるトバイアス・ハリス氏は話す。

患者を追い払うしかない診療所

問題を悪化させているのは、日本では保健所のみしか検査の実施を許可されておらず、政府が選択したわずか5社の検査機関だけが処理できるため、潜在的なボトルネックが生じていることである。

この問題について調査を開始したという日本医師会の報告や声明によると、高熱などの重篤な症状を呈している場合でも、診療所は患者を追い払うことを余儀なくされているということだ。

兵庫県の保育園の教師であり、59歳の両親、83歳の祖父、妹と一緒に住んでいる女性(33)は、母親と祖父の両方に発熱や鼻水、咳などの症状があったと言う。

しかし、2人とも、地元の保健所や病院でウイルスの検査を受けることができなかった。女性は、保健所の医師が「手を洗ってうがいをし、感染しないよう一生懸命努力するように」と言ったとき、彼女は驚いたという。

日本での検査が、東アジアのほかの政府に後れをとっている理由は明らかではない。

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