弘中綾香「まるで空気を読まない」異端児の魅力 神田伯山も認めた「ニュータイプの女子アナ」

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さらに、2019年の8月31日には初の冠ラジオ番組『弘中綾香のオールナイトニッポン0』(ニッポン放送)も放送された。テレビ朝日のアナウンサーが、フジテレビの系列局であるニッポン放送で番組を持つのは異例のことだった。

弘中がバラエティ番組でここまで重宝される最大の理由は、見た目のイメージとは裏腹につねにサバサバした態度ではっきりものを言うからだ。これはテレビ局のアナウンサーとしては珍しく、女性アナウンサーの中ではもっと珍しい。

弘中がここまで強気な態度を貫けるのは「いつ辞めてもいい」と思っているからだ。というのも、そもそも彼女にはアナウンサーという仕事自体に憧れやこだわりがなかった。

最初は「総合職志望」だった弘中アナ

弘中はもともとアナウンサー志望ではなかった。テレビ局のアナウンサーの採用試験を受けたのも、総合職としての採用試験を受ける前の肩慣らしのつもりだった。ところが、採用試験の過程でその圧倒的なトークスキルが評価され、アナウンサーとして採用されることになってしまった。

弘中は学生時代、テレビに出るアナウンサーを見ていて「なんでこの人たちはこんなにつまらないんだろう?」と疑問に思っていたという。バラエティ番組でも、ほかの出演者は面白いことを言って場を盛り上げるのが仕事だが、アナウンサーは番組をスムーズに進行させるのが本来の役目だ。

しかも、基本的に個人事業主であるタレントと違って、アナウンサーはテレビ局の社員である。組織を背負っている以上、自由に発言をすることはできない。弘中も、自分がアナウンサーになってみて初めてその立場の難しさを実感した。

彼女はテレビ朝日に入社後、『ミュージックステーション』のMCなどをそつなくこなしながら、バラエティ系のアナウンサーとして経験を積んできた。そして、『激レアさんを連れてきた。』以降はそのキャラクターに注目が集まるようになった。

感情を露骨に顔に出し、好きなものは好き、嫌いなものは嫌いとはっきり言う弘中は、アナウンサーとしては異色の存在であるのは確かだ。しかし、本人としては「毒舌」のつもりはなく、言いたいことを言っているだけだ。女性アナウンサーは一歩引いて本音を言わないものだというイメージが定着しすぎているために、弘中だけが目立って見えるのだろう。

弘中の毒舌は「芸としての毒」というよりも、ただの悪口になってしまっていることもしばしばある。そういうところが調子に乗っていると思われたりもするので、人によって好き嫌いや評価が分かれる。

次ページ弘中が切り開いた「女子アナの新しい生き方」
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