ワースト1位は?「遅延が多い路線」ランキング

複々線で混雑緩和の「あの路線」は悪化した

遅延を引き起こしている要因は何だろうか。国交省の調査結果によると、10分未満の遅れの最大の要因は「乗降時間の超過」で48%。ドアを何度も開け閉めする「ドアの再開閉」も6%あり、乗客の乗り降りに関する要因が54%を占める。

混雑率との関連で見ると、遅延日数が10日未満の14路線のうち、混雑率が160%を上回る路線は3路線のみ。一方、ワースト10に入る路線のうち7路線は180%を超えている。混雑率が157%と比較的低い小田急線も、最混雑区間の輸送人員は1時間当たり7万5000人を上回り、45路線中でトップクラスだ。ラッシュ時の激しい混雑や乗降の多さが遅延の要因になっていることがうかがえる。

また、30分以上の遅れについては「自殺」が52.4%を占めるという深刻な事態も明らかになった。遅延の「見える化」は、「人身事故」による電車の遅れが当たり前になってしまっている社会の異常さも浮き彫りにしている。

直通運転の影響は?

遅延が広がる要因としては、相互直通運転の拡大もよく指摘される。今年度以降、遅延日数の増加が懸念されるのが、2019年11月末からJR線と相互直通運転を開始した相鉄線だ。

2018年度の同線の遅延証明書発行日数は月平均4.3日で、45路線中38位。これまでは遅延の少ない路線だったが、直通運転を開始した2019年12月以降、JR線内でのトラブルなどによる遅れが目立つようになっている。

ただ、相互直通運転を行っていても、遅延日数が少ない路線もある。東京メトロ半蔵門線・日比谷線と直通する東武伊勢崎線の遅延日数は4日、都営地下鉄浅草線を通じて京成線などと直通する京急線も5.7日と比較的少ない。一方で、東京メトロ丸ノ内線(15.2日)、銀座線(12.5日)など、他線と直通していなくても遅れが発生しやすい路線があるのも事実だ。

現在は、鉄道各社がスマートフォンのアプリなどで列車の遅延情報などを配信しており、利用客がリアルタイムで分単位の遅れを把握できるようになっている。今回の結果を見て、通勤時の「体感」との違いを感じた人も少なくないのではないだろうか。

遅延対策を本格的に進めていくには、証明書の発行日数による状況把握からさらに一歩踏み込んで、より細かいデータに基づいた遅れの分析が必要だろう。

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