「Fukushima50」は映画人の覚悟がつまっている

福島第一原発事故当時の最前線を忠実に再現

原作は、90人以上にも及ぶ事故の関係者に独自取材を敢行した門田隆将の渾身のノンフィクション『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫刊)。

吉田昌郎福島第一原発所長を演じる渡辺謙。「吉田所長がのりうつったかのよう」との高い評価だ ©2020『Fukushima 50』製作委員会

当時現場にいた人間しか知りえない緊迫の状況、次々に発生するトラブル、拡大する被害、東電の本店や官邸との衝突、人間の強さと弱さなど、今まで知りえなかった原発事故の真実を描いた書籍。これをベースに、『空母いぶき』『沈まぬ太陽』の若松節朗監督がメガホンをとっている。

また、骨太のドラマを体現するべく、実力派のキャストが集まっている。刻一刻と危機的状況に陥る福島第一原子力発電所の復旧作業の最前線で指揮を執る福島第一原発1・2号機当直長、伊崎利夫役に佐藤浩市、そして福島第一原発所長の吉田昌郎役に渡辺謙という、日本を代表する名優がそろい踏みしている。

さらに吉岡秀隆、緒形直人、火野正平、平田満、萩原聖人、吉岡里帆、斎藤工、富田靖子、佐野史郎、安田成美らオールスター実力派たちが、熱を込めてこの作品に向き合った。

細部までリアリティーを追求

だが、福島第一原子力発電所の吉田所長は、当時のメディアなどでも数多く取り上げられ、世間でもよく知られる人物。それだけに、演じる渡辺も「非常にプレッシャーがかかる役でした」という。

吉田所長は、現場は混乱状況であるがゆえ、現場の状況を把握しきれていない東電本店や官邸からやってくる理不尽な命令に「現場の人間は身体を張ってるんだよ!」といら立ちを感じながらも、現場の作業員たちの安全を第一に考え、毅然とした態度で対応する。

撮影現場には、吉田所長の近くにいた人たちも見学に訪れていたそうで、渡辺はそういった人たちに吉田所長の人となりを徹底的に尋ねたという。その甲斐あって、見学に来ていた人たちも「背中の曲がり方や首の動きが吉田所長にそっくり。後ろ姿は本人かと思うほどで、のりうつったかのようだ」と口々に話すほどに感動していたという。

福島第一原子力発電所事故の状況を再現するため、東京・調布の角川大映スタジオには、1・2号機中央制御室と、免震重要棟にあった緊急時対策室のセットが作られた。

今回のセットは、細部までリアリティーが追求されていたとのことで、中央制御室の壁に並ぶ計器は、実際に操業していた原子力発電所とまったく同じデザインを再現。さらに緊急時対策室のセットもテーブルの位置や壁の色まで完璧に再現された。

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