深刻な「異常気象」対策で後手に回る日本の実態

オーストラリア大規模火災に見る地球の危機

シンポジウム「ゼロミッション都市と気候非常事態宣言」風景(筆者撮影)

地球温暖化に起因する気候変動が人間社会や自然界にとって著しい脅威となっているとの認識のもと、気温上昇を1.5℃に抑えるために、2050年までにCO2排出量を実質的にゼロにする必要が指摘されている。

2016年に日本を含む175の国と地域が、気候変動の脅威とそれに対処する緊急の必要性を認識し、温暖化に対して「産業革命前からの気温上昇を2℃より低い状態に保つとともに、1.5℃に抑える努力を追究する」ことを目標とした「パリ協定」に署名した。

すでに、産業革命前に比べて約1℃の気温上昇によって、世界各地で熱波、山火事、洪水、海面上昇、干ばつなどの極端な気候変動が頻繁に引き起こされ、多くの人々や自然が犠牲となっており、地球上で安心して安全な生活を送ることが困難な状況になっている。

しかし、日本人の環境破壊への危機感がなさすぎるという指摘がこのシンポジウム開催の背景にある。SDGsの中でも大きな課題である気候変動対応について、世界ではここ数年、「気候非常事態宣言」を出す自治体が急増しており、その動向が注目されている。

青少年による「気候ストライキ」の爆発的拡大

危機感を最も訴えているのは、日本エシカル推進協議会名誉会長でSPEED研究会名誉会長でもある東京大学名誉教授の山本良一氏だ。エコプロは大盛況に見えるが、実際の対応は生ぬるいということだ。ここでは、その問題意識について触れたい。

海外での大きな動きの要因に、青少年による世界的な「気候ストライキ」の爆発的拡大がある。これは2018年8月にスウェーデンのグレタさんが国会前で始めたものだ。この行動が広がりを見せ、若者が中心となって気候非常事態宣言などを要求し、昨年3月15日には世界で約150万人、9月23日の国連気候行動サミット開催前には400万人以上が学校を休んで気候ストライキに参加した。

山本良一氏の新著『気候危機』(岩波書店)では「気候非常事態宣言」を発し始めた世界各地の自治体・国についての現状がまとめられている

こうした運動は、新たな化石燃料プロジェクトを禁止し、自治体に気候非常事態の宣言とそれに基づく政策等を求め、市民にはそのための請願やキャンペーンを要請するものだ。2016年4月からオーストラリアで始まり、同年12月に同国のデアビン市が世界で初めて宣言を行った。

その後、この気候非常事態宣言を行った自治体は2020年1月現在、世界25カ国、1315自治体にも上っている。この中には経済大国の首都も多く含まれている。

イギリスのロンドン、フランスのパリ、オランダのアムステルダム、スペインのマドリード、イタリアのローマ、ニュージーランドのウェリントン、カナダのオタワなどだ。2018年の12月にはまだ20程度にすぎなかったが、この1年ほどで急増している。

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