大塚明夫「声優を夢見る若者が陥りがちな失敗」 努力せずちやほやされたいだけじゃないか?

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ともあれそういう人は、恵まれていないときに諦めもつかないし人のせいにします。違う事務所に行ったほうが人気が出たんじゃないか、なんてくよくよ思ったりするのです。それでもいいから役者をやりたい、演じたい、という方向にシフトできているのであれば、起きたことは自分のせいだと肚(はら)をくくれますし、人気者になるのは二の次だという感覚も生まれるはずなのですが。

何度も書いてきたとおり、声優にとって人気は大切なものです。でも、「声優が仕事を得るには人気が大切だ」という事実と、「自分がいちばん大切だと思っているものは何か」という話は別なのです。人気がなければいい役はこない。でも、その「人気」のためにあなたはどれだけの努力ができるでしょうか。その見極めはあなた自身にしかできません。

「人気者になりたいからその手段として声優を選んだ」ならそれでいいのです。問題はそれを自分で認識できないこと、手段と目的を取り違えることです。この順番を間違えながらどれだけじたばたしても、あなたが満たされることは絶対にありません。

「人生の主導権」は自分で握れ

人は、「誰かのせいで自分は満たされていない」と考えているときが実はいちばん不幸せなものです。自分にはどうにもならない事情でこんな目に遭っているんだ、と思うからふてくされる。人生の主導権を自分で持ち、「これもすべて自分の生き方だ」と思っている人は、たとえ苦しくても本当に折れてしまうことはないのです。

もうひとつ言っておくと、声優として食っていけるレベルまで売れることと、ちやほやされることとは別問題です。飯の食えている声優はちやほやされているのか、ちやほやされている声優は食えているのか、と聞かれればどちらも「そうとは限らない」でおしまいです。そこの混同も悲劇のもとです。

1.役者を続けながら生きる
2.声優として食っていくレベルまで売れる
3.アイドル声優としてちやほやされる

これらはどれも違う望みです。歩むべきルートも違ってきます。ただ芝居がしたいなら、別の仕事で働きながら芝居をしたっていいわけです。演劇をやっている人たちなどにはこのタイプが多いでしょう。

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