相鉄「都心直通」で東京の鉄道勢力図は変わるか 悲願がついに実現、沿線の魅力は向上する?

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相鉄・JR直通線は、沿線利用者の利便性向上だけが目的ではない。相鉄線がより便利な路線となることで、沿線の人口増や活性化につながることが期待されている。

開業に先立って開かれた「発車式」の様子(撮影:大澤誠)

直通線の開業に先立つ11月25日に行われた「発車式」で、黒岩祐治・神奈川県知事は「この新線の開業で新たな戦いが始まる。直通して便利になったからといってみんなが東京に行ってはダメだ。神奈川に多くの人を引っ張ってこないと」と述べた。

相鉄は都心直通を機に「選ばれる沿線の創造」に向けた街づくりに取り組んできた。相鉄本線といずみ野線の分岐駅であり、相鉄を代表する駅の1つである二俣川周辺の再開発や、いずみ野線南万騎が原駅周辺のリノベーションプロジェクト、同線のゆめが丘駅周辺の新たな街づくりなどを進めている。

直通線の開業に向けて再開発が進み、相鉄沿線や横浜市内の主要拠点としてさらなる発展が期待されるのは二俣川だ。同駅の2018年度の1日平均利用者数は約8万2000人。近隣に運転免許センターがあるため神奈川県民にはおなじみの場所だ。

高まる二俣川の拠点性

二俣川駅南口地区再開発プロジェクトでは、商業施設「ジョイナステラス二俣川」が2018年にオープン、オフィス施設として「コプレ二俣川」も開業した。これにより2018年度上半期の乗降客数は前年比で4.9%増えたという。直通線の定期利用者にとって途中下車スポットともなりうるこの駅周辺の商業施設などにどのように集客し、二俣川の拠点化をさらに進めていくかは重要な課題だ。

新駅の羽沢横浜国大駅(撮影:大澤誠)

また、新たに開業する羽沢横浜国大駅はその駅名のとおり、近隣に横浜国立大学があり、他地域からの通学利用者も多くなると予想される。

同大学のホームページにはすでに同駅からの案内が詳しく紹介されており、駅から大学までは徒歩15分だ。これまでの相鉄線和田町駅から徒歩20分、横浜市営地下鉄ブルーライン三ッ沢上町駅から徒歩16分に比べて時間は短縮される。ただ、決して近くはない。横浜駅からバスを利用する学生も引き続き多いだろう。

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