森田芳光・映画監督--映画の出来を決めるのは原作よりもチーム力だ


--出資者が本当にいい企画に資金を出せないのはなぜですか?

知識が細分化されていないからじゃないですかね。「ベストセラー原作」と「観客がついてくる」の間がショートカットされて、なぜベストセラーになったのかとか、原作の読後感とかが無視されている。

映画というのはその商品を味わう前におカネを出すものだから、逆にいえば怖い。映画界でリーマンショックが起こっても、本当におかしくない。まあ、あまり映画界のことばかり言うのはやめましょうよ。あまり言うと、映画会社の人から「もう森田は使わないぞ」と……(笑)。

ただ、この映画の中の、十のうち一つには、そういう自分の意見もある。そう言えるのは、僕は自分のおカネで世に出たから。デビュー作の『の・ようなもの』は自主映画です。親からおカネを借りて作った。また、『バカヤロー!』(製作総指揮を担当)という映画では、いろいろな監督にチャンスを与えて世に出した。そうしたことが僕のバックボーンにあるので、そういうことが言える。

--今回の映画のように、誰かが森田監督に多額のおカネを出してくれたら何に使いますか。

もちろん映画に使いますよ。もらったものを有効に使うためには、自分のスキルが最大限に生かせて、みんなが喜ぶことに使うのがいちばんです。僕の場合、映画しかないじゃないですか。


(聞き手:大坂直樹、宇都宮 徹 撮影:今井康一 =週刊東洋経済)

もりた・よしみつ
1950年生まれ。日大芸術学部放送学科卒。他に大宅壮一マスコミ塾などで学ぶ。『の・ようなもの』(81年)で映画監督デビュー。『家族ゲーム』(83年)で映画賞を総なめ。『失楽園』(97年)などヒット作多数。味の素、シャープ、マンダムなどテレビCMも多数手掛ける。

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