絶好調の伊藤園「茶カフェ」に映る静かな危機感 定番として盤石の地位だが新たな魅力も必要
11月1日、東京・渋谷に「渋谷スクランブルスクエア」が開業した。
渋谷駅に直結し、同地区では2012年の「渋谷ヒカリエ」以来の大型商業施設として、200以上もの店舗が入る。国内大手から個人店、海外の店といったカフェチェーンも多く出店した。例えば「スターバックスコーヒー」「タリーズコーヒー」「上島珈琲店」「丸山珈琲」「ピースカフェ ハワイ」「カフェ コヴァ ミラノ」などだ。
施設内の10階には伊藤園が運営する「オチャ ルーム アシタ イトウエン」(ocha room ashita ITOEN。以下「オチャルーム」)という店もあり、高価格な茶系飲料を提供する。
「これまで『茶寮 伊藤園』などの店舗も手がけてきましたが、この店は飲食・物販・イベントスペースを三位一体で備えた、当社初の店です。年代・性別・人種・文化などを問わず、多様な人々が集まる渋谷だからこそ、出店を決断しました」
広報担当の山口愛一郎氏(伊藤園広報部副部長)はこう説明する。
まずは新しい店の横顔を紹介した後で、同社の取り組みを多角度から考察したい。
消費者と茶系飲料の「出合いの場」
「オチャルーム」には「物販」コーナーがあり、茶葉のほか、急須や湯呑み、茶道具なども約30点そろえる。ちなみにお茶の種類は、同じ茶葉の発酵度合いで緑茶・紅茶・ウーロン茶などに分かれるという。
「イベントスペース」は飲食スペースを活用した、最大10人程度の小規模イベントができる。「季節歳時に合わせた、お茶にまつわる有料セミナーやワークショップなどを不定期で開催する予定です」(山口氏)。
店の中核を成すのが「飲食」だ。例えば、抹茶、日本茶、紅茶といった定番飲料のほか、抹茶ラテ、ほうじ茶ラテ、抹茶わらび餅や抹茶しるこなどの茶系ドリンク・スイーツがある。さらにチーズティーや抹茶ビールもあり、軽食では抹茶の風味を生かしたバケットサンドイッチも提供する。あまりほかでは見ないラインナップだ。
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