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日本の「クラフトビール」実態がわからない事情 そもそもクラフトビールってなんだ?

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しかしながら、大手もクラフトビールを販売していますし、全国どこでも買えるものもクラフトビールと言われています。小規模とはどれほどなのかはっきりしませんし、そもそも個性とは何なのでしょうか? 反例もたくさんありますし、解釈によっては何でもアリとも言えます。漠然としたイメージが多すぎて収拾がつかないのです。

「クラフトビールとは何か」という話になったとき、必ずもめるのはおそらくこれが理由でしょう。落としどころがないため結局、「日本にクラフトビールの定義はない」という結論に達するのだと思われます。

とはいえ、もめることは悪いことではありません。私たち一人ひとりがクラフトに対して抱いているイメージはさまざまです。「クラフト観」はそれこそ無限にあります。乱暴に言えば、自分が「これぞクラフトだ!」と思ったものがクラフトです。それ以上でもそれ以下でもありません。

「うまけりゃ何でもイイんだよ」「そもそもクラフトだとかそうじゃないとかどうでもイイ」という人もいらっしゃるでしょう。ええ、まったくそのとおりです。それでまったく問題ないのです。大事なのはそれぞれの持つクラフト観を対話によってすり合わせることで、その対話こそがクラフト的だと思います。

実は市場規模すらわからない

ただ、日本では情緒的なクラフトビール観ばかりが先行し、ビール産業の動態を可視化するという点が抜け落ちていると考えます。日本ではこれまで統計的な視点でクラフトブルワーを定義してこなかったのでデータが蓄積されていません。そのため、正確な市場規模もわからず、季節変動も読めない状況です。

例えばIPAというホップを効かせたタイプのビールが流行していると言われますが、実際どれほどなのかは定かではありません。客観的なデータがなく、根拠に乏しいのです。飲食店向けの樽生が人気なのか、それとも瓶や缶なのか。今がピークなのか、それともまだまだ伸びていくのか。肌感覚だけが頼りでまったく読めないわけです。

その結果、ブルワリーは昨年までの自社実績だけが参考資料となり、長年の経験と勘だけを頼りに醸造・販売に臨まねばなりません。決してよいとは言えない傾向が続いています。しかし、そろそろそれも終わりにしなくてはなりません。アメリカのように統計的な定義をし、データを活用して日本のクラフトビール産業をアップデートすることが望まれます。

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