『ヘッドハンティングされました』(33歳男性) 城繁幸の非エリートキャリア相談

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<城繁幸氏の診断>

診断:『人事は辛いのよ』

 21世紀を迎えた現在、様々なシステムが変革を迎えているといえるでしょう。人事システムも例外ではありません。いや、人材を育成するという意味で、本来それは真っ先に変わるべき分野だと思います。しかし往々にして、そういう部門で上に立つ人間ほど、オツムが恐ろしいほどに固いのも事実です。まあ人並み以上に“規則”を守ることで、その地位を築き上げてきた部門ですから、そうなるのも仕方ないのでしょうが・・・。

 というわけで、社外に活躍の機会を求めるのも悪くはないでしょう。特に今回はマネージャー待遇とのこと。年齢を考えれば、これはまたとないチャンスと言えるでしょう。一般に、転職に際しては、前職の業務内容が非常に大きく影響します。たとえばマネージャー待遇であれば、普通はマネージャー経験者が優先される、という具合です。今後部長以上に昇格できる可能性が低い、あるいはできたとしても、10年以上先であり、転職市場の旬を過ぎてしまうというのであれば、今回のオファーは非常に魅力的です。次の転職の際、選択肢が広がるわけですから。

 ただ、ネックもあります。(企業によりますが)外資系企業は往々にして「人事権が事業部のマネージャーに移譲されている」という傾向があります。つまり、査定はもちろん、採用から異動にいたるまで、基本的に彼ら現場の管理職が行い、人事部は給与計算や税金、社会保険業務など、いわゆるバックオフィス系業務だけを担当する小さな部署にすぎないのです(日系企業でも中小企業などは、割とこういった企業が多いですね)。

 まして外資には、本国のヘッドクォーターが強力に支社を統括する企業が多く見られます。もし、あなたが“やりがい”というものを求めるのなら、むしろ今よりも低下する可能性があるでしょう。

 報酬という意味でも、内勤の管理部門の人間が、こういった完全実力型の組織で、(一部の)エンジニアや営業職のように大きく稼げる可能性は高くありません。日系から外資の人事部に転職してはみたけれど、「前よりもつまらないや」という人間は意外と多いものです。 

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