エクアドル、なぜほぼ全国民の情報漏れたのか 元ウィキリークスのアサンジ氏も被害に

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後者は2012と2013年に国家コミュニケーション庁の長官を務め、2014年から2016年まで国家開発銀行に勤務した後、調査開発部門の部長を務めた。そして2017年に、マルティネス氏とノバエストラットを設立した。今回の件をめぐり、マルティネス氏ら2人は、エクアドル警察当局に逮捕され、家宅捜査で彼らが所有していた情報機器や関係書類などはすべて押収されたが、その後釈放されている。

問題は、資本金3000ドル程度の中小企業が、どのようにして膨大な量のデータを手に入れたのかということだが、報道によると、エクアドルの通信相のアンドレス・ミチェレナ氏は、「(今回の流出は)ハッカーでもサイバー攻撃によるものでもなく、国家情報システムのデーターベースを買収したものでもない」と発言。

前政権時(ラファエル・コレア前大統領)には、ブラックマーケットで情報の売買が行われていたとするが、2017年5月に今のレニン大統領に変わってからはそうしたことは起きてないと示唆している。

ウィキリークスのアサンジ氏の情報も流出

ここで注目したいのは、ノバエストラット創業者の2人は前政権時の官僚だったことである。筆者は以前スペインのサラゴサ駅で偶然、コレア前大統領と大学の同級生だった、という人物と話す機会があった。その人物は、「コレアの大学時代の仲間が政府の主要なポストに就いている」と話していた。「自分は、そういうのは好まないので、彼に連絡をしていない」とも。あくまで私見だが、前政権ではコレア前大統領と近しい人物を要職につけていた可能性もゼロではないだろう。

また、今回の流出した情報の中には、在イギリス・エクアドル大使館に亡命していた「ウィキリークス」の創設者ジュリアン・アサンジ氏に関係した情報も含まれているとされている。アメリカからの追跡を逃れるために同大使館への亡命を容認したのは、ベネズエラのチャベス前大統領の反米主義に呼応したコレア前大統領とされている。

アサンジ氏をイギリス警察当局に5カ月前に逮捕させたのはモレノ大統領だった。アサンジ氏が同大使館から欧米の政治を批判していることが、エクアドルの外交に支障を来しているとの理由からだ。とくに、アサンジ氏がスペイン・カタルーニャの独立の動きに賛同していたことで、モレノ大統領はスペイン政府から忠告を受けていたようだ。

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