期待のMAZDA3は、なぜアメリカで売れないのか 今年4月に発売したが、販売計画に大幅未達

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マツダはこの悪循環からの脱却を目指し、アメリカで2016年から「販売網クレンジング」と銘打った販売改革を果敢に進めてきた。値引きをしない、顧客満足度を重視する、といった新たな「ブランド価値経営」に賛同する販売店だけを選定し、2016年には635店あった店舗を、572店舗(2018年末)まで削減。特にマツダ車だけを販売する専売店舗を73%まで増やしている。

さらに、プレミアム志向の顧客獲得に向け、商品のデザインコンセプトに合わせた「次世代店舗」へのリニューアルを265店舗で行う計画を打ち出し、すでに3割弱で転換を完了した。

マツダが販売改革を進めるのは、2018年度にグローバルで156万台という現在の規模で生き残っていくには、インセンティブ頼みの安売りメーカーではなく、プレミアムなブランドに生まれ変わる必要があると考えたためだ。

幸いスカイアクティブ、魂動デザインを打ち出した2011年頃からマツダ車の評価はうなぎ登り。これに意を強くしてMAZDA3では価格を引き上げ、インセンティブ抑制、「プレミアム路線」を一気に加速させた。だが、現状を見る限り、消費者はついてきていない。プレミアムなブランドを定着させるにはやはり時間がかかる。

反転攻勢のカギを握るのはCX-30

マツダは2021年にトヨタ自動車との合弁で、アラバマに新工場を立ち上げる。マツダの生産能力として15万台がプラスされることもあり、2025年にはグローバル販売180万台の目標を掲げる。しかし、肝心のアメリカでの販売が上向かなければ、新工場はそのままお荷物になってしまう。

中西孝樹ナカニシ自動車産業リサーチ代表アナリストは「経済状況が著しく厳しい中、価格を上げて販売台数も伸ばす計画は楽観的すぎる」と警鐘を鳴らす。

「CX-30」に期待を寄せる丸本社長。日本では9月20日から予約受注を開始した(写真:梅谷秀司)

反転攻勢のカギを握るのが今回のCX-30だ。今後アメリカや中国で、主戦力として市場に投入される。CX-30はメキシコでも生産する予定で、低迷する稼働率の引き上げ役も担う。「CX-30で苦戦するMAZDA3を補っていきたい」と丸本社長は期待を寄せる。

プレミアムブランドを目指すマツダ。その高い理想を実現できるのか。

森川 郁子 東洋経済 記者

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もりかわ いくこ / Ikuko Morikawa

自動車・部品メーカー担当。慶応義塾大学法学部在学中、メキシコ国立自治大学に留学。2017年、東洋経済新報社入社。趣味はドライブと都内の芝生探し、休日は鈍行列車の旅に出ている。

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