横浜に本社移転の京急、「カジノ」にはどう対応? 品川に加え、みなとみらいでも不動産開発
「このエリアには、もっと元気になってほしい」――。9月2日に開かれた竣工記念式典の席上で、原田一之社長が力説した。
京急と横浜は切っても切れない関係がある。京浜工業地帯は明治期から戦後の高度成長期にかけて日本の経済を支えてきた。三浦半島エリアは京浜工業地帯のベッドタウンとして栄え、品川と三浦半島を結ぶ京急本線は沿線で働く人たちの重要な交通手段であった。
しかしその後、多くの企業が京浜工業地帯から工場を移転させ、三浦半島エリアの人口も減少に転じた。まさに「元気がない」状態が続いている。
京急としては、沿線のど真ん中に自ら本社を移すことで、沿線活性化の一助としたいと考えた。京急の駅別1日平均乗降人員を見ると、横浜は1日平均32万人で、品川の28万人、川崎の12万人を上回る。京急にとっては最重要の駅ともいえる。
横浜で大型開発も計画
一方で、「横浜は立地的に恵まれており、今後活性化できる余地は大きい」と原田社長は考えている。リニア開業後の東京の玄関口・品川から20~30分の距離にあり、空の玄関口・羽田空港からも30分しかかからない。ビジネス拠点としては東京都心に勝るとも劣らない。
京急、大林組、新日鉄興和不動産、ヤマハの4社で構成する企業グループは、本社ビルに近い「みなとみらい21中央地区53街区」の事業予定者に選定されている。約1100億円を投じて、オフィス、商業施設、ホテルなどからなる2棟の大規模複合ビルを2023年までに建設する計画だ。京急の大型開発といえば、品川駅西口前に京急が多数抱えるビル群をオフィスや商業施設に再開発する計画が注目されているが、横浜エリアの動きも見逃せない。
横浜市は8月22日に、IR(カジノを含む統合型リゾート施設)を横浜・山下埠頭に誘致すると発表した。IRを誘致できれば建設時に7500億円、運営時には年間6300億円を超える経済効果を見込めるという。市は数年前からIR誘致の検討を進めており、京急も地域経済の活性化を狙えるとして、2014年度にIR施設運営事業などの参画の検討を始めた。
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