博物館で親の行動が子に与えるこれだけの影響 夏休みに子どもと行きたい「特別展」はこれだ

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早い時期の研究では、親が子どもを促し博物館に行き、共に行動することは、そうした活動を社会的なものとする意味で、また、影響においても重要な意味を持つだけでなく、子どものその後の科学の習得の基礎を形作っている可能性があるということが指摘されている。 

展示を見ている間の親子の関係に注目した研究では、子どもが1人、あるいは友達といるときよりも、親と一緒のときのほうが展示室でより多くの時間を費やすことがわかっている。

博物館での親子の会話に注目した別の研究によると、親は、子どもの注意を喚起したり、議論を促したり、whyやwhatなど「wh型」の問いかけといった教育的な戦略を用いたりしながら、展示品と現実世界における知識を対比させ、展示品に対する子どもの学習を導いていることが明らかにされている。

「進化」という難解なテーマの場合

「恐竜博2019」や「絶滅動物研究所」のような企画展は、展示品を眺めるという通常の博物館スタイルが中心の展示であり、作品を実際に手で触れるなどハンズ・オンを基本理念とする子どものためのミュージアムとは異なる。親にとっても知らないことが多く、子どもの学習を導く以前に、親自身が展示を読み解くだけでも精一杯だと思うかもしれない。

実は、とくに「進化」という複雑なテーマを扱う展示を対象に、親が子どもの理解をどのように手助けできるのかを問う研究も近年盛んに行われている。例えば、アメリカの心理学者たちによる最近の共同研究では、進化に関する最新の研究成果をテーマにした展示を舞台に、平均年齢9.6歳の子どもを含む12の家族の会話を録音し分析することで、親がどのように子どもの学習をサポートするかを調査している。

親は、展示テキストを読みあげ、それを子どもにわかりやすいように言い直したり、また、進化にまつわる用語や概念について語っている。子どもたちは明らかに親のそうした言葉に反応し、いわゆる議論のようなものも生まれていた。小学生にとって「進化」というテーマはまだ難しい。しかし、親が博物館に一緒に行き、展示品について語ることは、科学の習得の素地をつくる1つの有効なアプローチと考えられるのである。

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