100均の家ついに登場、深刻化する空き家の対処 空き家が増加する日本の見過ごせない課題

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具体的に事例を見ていこう。100均物件として掲載されている「宮城県栗原市花山の築40年の平屋」の売却価格は100円だ。建物面積140m2の平屋に73m2の納屋まで付いている。

実際に売り出されている100均物件

現オーナーは、地域おこし協力隊を経て花山に移住し、譲り受けたこの空き家を地域づくりに活用したいと考えている。そこで付けたキャッチが「最寄りは湖 U-30 花山代表求ム!」。つまり、地域に貢献したい30歳以下の若者に100円で売りたいというメッセージが込められている。

「空き家ゲートウェイ」プロジェクトマネジャー川口直人さんに、100均物件を集める理由を聞いた。

「新しいライフスタイルを提案するメディアとして、空き家の問題を解決したいと考えていましたが、空き家をカジュアルに、もっと気軽に見てほしいと思いました。それを端的に表現するのが100均です。資産価値がないと思われている物件でも、自然豊かな場所に安くて広い住まいを手に入れて思い通りの暮らしを実現したいという、そこに価値を認める人がどこかにいると思うのです」

資産価値のない物件が価値をもつ

プラットフォーム上で売りたい人と買いたい人をマッチングするだけで、仲介業務を行うわけではない。もちろん売却価格100円といっても、売却時の諸費用などがかかるし、DIYやリフォームなどの改修も自分で行う必要がある。それでも、そこでの暮らしをイメージできるようにオーナーの思いも伝えることで、そのストーリーに共感する人に引き継ごうというのがコンセプトだ。

空き家が100均物件として「空き家ゲートウェイ」に掲載可能かを判断する、物件査定ページ「カンタンゲートウェイ」が用意されているが、資産価値のある物件の場合だと「残念!掲載できません」と査定される。通常の査定とは真逆だ。ここでは、資産価値のない物件が価値を持つわけだ。2019年7月1日に空き家ゲートウェイ開設後、10日間で70件ほどの掲載問い合わせが寄せられ、順次検討しているところだという。

空き家を100円でも売りたい、オーナーに交渉しながら100円で買いたい、という人が今後どれだけ多く集まってくるか、注目したいポイントだ。

さて、空き家というと負の面ばかりが注目されるが、空き家をポジティブにとらえることができるようになれば、空き家の利活用も進むのではないだろうか。新しい取り組みに大いに期待したい。

山本 久美子 住宅ジャーナリスト

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やまもと くみこ / Kumiko Yamamoto

早稲田大学卒業。リクルートにて、「週刊住宅情報」「都心に住む」などの副編集長を歴任。現在は、住宅メディアへの執筆やセミナーなどの講演にて活躍中。「SUUMOジャーナル」「All About(最新住宅キーワードガイド)」などのサイトで連載記事を執筆。宅地建物取引士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーの資格を有す。

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