アマゾン「バーチャルメイク」に勝算はあるか AIとAR技術使い、スマホ上で「お試し」可能に

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アマゾンのバーチャルメイクは、化粧品の世界トップメーカーであるロレアルグループ傘下のモディフェイスが開発した、人工知能(AI)と拡張現実(AR)技術を活用したシステムを使用している。

購入画面からすぐにバーチャルメイクの画面に移動することができる(写真:アマゾンジャパン)

実際に、アマゾンのバーチャルメイクを試してみた。まずアマゾンのサイト上で、ロレアル社の口紅を検索。検索結果に出てきた商品画像を押すと、「メイクしてみる」というボタンが出てくる。ボタンを押すと、バーチャルメイクの画面へ移行。スマホ内に保存された自分の顔写真だけでなく、モデルの写真、または動画モード(ライブモード)を利用することができる。

動画モードを試してみると、顔をある程度動かしても口紅の位置が唇からずれることがほぼない。さらに、口紅の色の濃さまで画面上で調整することができる。バーチャルで口紅がついた状態のまま写真を撮影し、スマホ内に保存。商品を気に入れば、そのままアマゾンサイト内で購入ボタンを押せばよい。

アマゾン限定化粧品の販売も計画中

現在はリップ商品のみだが、ラインナップの拡充も検討している。利用者拡大を狙い、アマゾンのバーチャルメイク限定化粧品の発売も計画。同社のオフラインイベントでも、バーチャルメイクのデモンストレーションを行う予定だという。

化粧品メーカーも「資生堂では自社ECのワタシプラスを展開しているが、集客力のあるアマゾンでのサービス機能充実は普段とは違う顧客に購入してもらうきっかけになるかもしれない」(資生堂広報)と販売チャネルの拡張に期待を寄せる。

とはいえ、6月18日にはグーグル傘下のユーチューブもバーチャルメイクの導入を発表。ユーチューブの場合、同社サイト上でコスメを試し、リンクを通じて化粧品メーカーのサイト購入ページに飛ぶことができるという。現在導入予定のブランドは「M・A・C」だけだが、今後はラインナップが増える可能性もある。

競合がひしめく中、アマゾンが新サービスを浸透させるためには、インフルエンサー(世間に与える影響力が大きい人物)との連携などプロモーション施策が求められる。バーチャルの戦いは、一気にヒートアップしそうだ。

若泉 もえな 東洋経済 記者

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わかいずみ もえな / Moena Wakaizumi

東京都出身。2017年に東洋経済新報社に入社。化粧品や日用品、小売り担当などを経て、現在は東洋経済オンライン編集部。大学在学中に台湾に留学、中華エンタメを見るのが趣味。kpopも好き。

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