介護にこそ「AIが必要」と経験者が確信するワケ 私たちがこれから直面する大問題

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誰でもそうですが「いつも誰かに監視されている」というのは、あんまり気分のいいものではありません。できるのであれは自分からSOSを発信したい。

自分では、意思表示できない状態でも、もう少しスマートに安否確認ができるといいですね。

AIスピーカーだけではありませんが、とかくシニアは新しい機器を見ると欠点ばかりが目につくようです。しかし、こういうものの進歩は早いのです。今できなかったことも、すぐにできるようになります。

ITと介護、両方に詳しい人が求められている

AIスピーカーは、使うのは簡単なのですが、最初の設定だけは少し難しいかもしれません。そこだけはITに詳しい人にやってもらうといいでしょう。

そこで私は、例えば「介護情報士みたいな方がおられたらいいな」と思うのです。AIスピーカーやロボットなど、介護に役立つIT機器の初期設定と使い方の指導ができる人。ITと介護の両方に詳しい介護士さんです。

一口に介護といっても、各ご家庭によってニーズはさまざまです。被介護者の耳が聞こえていて、お話もできるならAIスピーカーはとても有用。でも、うまく声が出せない場合もあるかもしれません。手が動くなら、手元で操作できる機器のほうが便利です。それぞれの事情を聞き取って、最適なIT環境をセッティングする。そういう能力がある人が、今後の介護の世界で必要になるでしょう。

これからは、IT企業で働いていた人がリタイア世代に入ってきます。そうした自分の知識を、介護の領域で生かしてほしいのです。

ITやAI、ロボットの技術が発展したら、家にいながらVRで世界旅行が楽しめたり、足が不自由になっても機械を装着して楽に歩けたりするようになるかもしれません。科学技術は、年をとることに伴う不自由から私たちを解放してくれるんです。

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若い頃、テレビの人気番組に「I Love Lucy」というアメリカのコメディーがありました。その登場人物の中に、Lucyさんの友人で万事「進んでいる奥さま」がおられた。彼女の家では「窓を開けてちょうだい」というと、実際に窓が開くのです。「シャワー」と言うとアタマからお湯が降ってくる。こんな風景は現実にはないと誰もが思っていたからコメディーになったのですね。今や、これが日常になりつつあります。

そこまで進んでいなくても、家にいながらネット上のお友達とおしゃべりしたり、遠くにいる孫の写真がフォトフレームに送られてきたり。こんなことは、私が子どもの頃には考えられませんでした。ITは孤独を和らげてくれます。

こうした社会の大きな変化を体験できているのは、とても幸せなことだと思います。ロボットと一緒に生活する日がくるなんて、ワクワクしませんか? 変わることを恐れずに、楽しむこと。積極的に学ぼうとすること。それが、これからのIT社会に適応して豊かに生きる秘訣です。

若宮 正子 世界最高齢プログラマー

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わかみや まさこ / Masako Wakamiya

1935年東京生まれ。東京教育大学附属高等学校(現・筑波大学附属高等学校)卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)へ勤務。定年をきっかけに、パソコンを独自に習得し、同居する母親の介護をしながらパソコンを使って世界を広げていく。1999年にシニア世代のサイト「メロウ倶楽部」の創設に参画し、現在も副会長を務めているほか、NPO法人ブロードバンドスクール協会の理事として、シニア世代へのデジタル機器普及活動に尽力している。2016年秋からiPhoneアプリの開発をはじめ、2017年6月にはアメリカ・アップルによる世界開発者会議「WWDC2017」に特別招待される。安倍政権の看板政策「人づくり革命」の具体策を検討する「人生100年時代構想会議」の最年長有識者メンバーにも選ばれた。エクセル・アート創始者。

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