再開発で「ダサさ」一掃の池袋、目指すは「渋谷」? 「ダイヤゲート」が完成、西も東も様変わり
施設はハレザタワー・ホール棟・としま区民センターの3つの建物からなり、11月に開業するのはホール棟ととしま区民センターの2棟だ。ホール棟には1300席を備える芸術文化劇場のほか、ポニーキャニオンが運営する未来型のライブ劇場、ニコニコ動画を運営するドワンゴが運営するサテライトスタジオが入る。従来の文化施設の枠にとらわれず、サブカルチャーにも焦点があたった施設内容は確かに豊島区としてかなり気合いを入れて計画した施設であることが伝わってくる。
そして2020年夏に開業するハレザ棟は32階建てのオフィス棟を中心とし、ダイヤゲートに続いてまとまったオフィスが供給されることとなる。
このように池袋は文化・芸術・公園といったまちのイメージの一新だけでなく、大規模オフィスビルの竣工に伴うオフィス面積の供給により、ビジネスセンターとしての役割も高めようとしているのである。
これだけでもずいぶんと池袋のまちにダイナミックな変化が生まれるのではないかと思われるが、これまではダイヤゲート含め東口が中心の話だ。西口では今後3棟の高層ビルを中心とし、三菱地所・三菱地所レジデンスが協力事業者となった「池袋駅西口地区市街地再開発」も本格的に動き出す。今後池袋駅周辺は大きく変わっていくこととなる。
池袋のイメージを生かしたまちづくりを
こうした積極的な施策には2014年に豊島区が「消滅可能性都市」として話題になったことも関係している。危機感を抱いた豊島区では「持続発展都市」をテーマに予算を組み、若い女性向けの声を予算に反映させるといった取り組みも行ってきた。こうした再開発やイメージ刷新により、豊島区内への人口流入を誘発し、豊島区の住宅街の人口構成を変えていくことで最終的に豊島区全体へ投資の恩恵を広く波及させていくのが狙いだ。
ただ、こうした池袋の再開発は池袋の従来のよさを崩してしまわないかという不安もある。筆者は2018年2月9日付記事「池袋はいつから『ダサい』と呼ばれ始めたのか」で池袋の特徴および魅力は気張らなくても、いいまちであるところだと分析してきた。だからこそ、こうした再開発で「最先端をいくまちのイメージ」へ変化させていくことは、これまで池袋の魅力としてあったものを逆に削ぐことになるのではないだろうかと考える。
また、同じく東京都心の西側で文化都市のイメージをつくっている渋谷とのイメージのバッティングも気になるところだ。
だからこそ、池袋の魅力は渋谷と違った方向で発信されるべきだろう。せっかくこれまで培われてきた池袋の魅力や特徴があるのだから、それを大事にした再開発・まちのイメージづくりを進めていくことが、豊島区や池袋周辺の再開発主体には求められるのではないだろうか。
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