アルファロメオ「初のSUV」が日本で売れる理由 FCAジャパンのヘグストロム社長を独占取材

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――ジュリアとステルヴィオは新世代のエンジン縦置き用プラットフォームを使ったモデルですが、ジュリエッタに代表される従来アルファロメオが展開していたエンジン横置きのモデルはもう投入しないのですか?

今年3月のジュネーブショーに出したモデルが、アルファロメオの今後を予測するうえでヒントになると思います(筆者注記:同ショーでFCAはPHVを採用したSUVのコンセプトカー「アルファロメオ・トナーレ」を出展。サイズは公表されなかったが、ステルヴィオよりもややコンパクトに見える)。

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――同じFCAのジープやフィアットなどに比べ、またドイツ車に比べて、アルファロメオは中古車の値下がり幅が大きいように見受けられますが?

前述したように、これまでアルファロメオは商品を出すタイミングにムラがありました。2017年にジュリアを発売するまでしばらく新車を投入していなかったため、現在中古車市場にあるアルファロメオは年式が古く、走行距離が多い個体が多く、価格を維持できていないのは確かです。

――インポーターとして何か対策を講じていらっしゃいますか?

ジュリアとステルヴィオが継続的に売れれば徐々に改善できると思っています。加えて価値を長期間にわたって維持できるよう、車両のメンテナンスプログラムも充実させました。販売店側もかつてはさほど中古車販売に力を入れていませんでしたが、最近は意識が変わったように見えます。

今後、われわれがしていかなければならないことは、過去のイメージと現在のイメージのギャップを埋めることです。アルファロメオというと“高いわりによく壊れる”という印象のほうがまだまだ多い。けれど実際には現行モデルはドイツ車に対して壊れやすいわけではありません。そのことがもっと世間に広まれば、アルファロメオの中古車価格の維持につながるはずですから。

――イメージのギャップが存在しているうちは、アルファロメオの本来のバリューに対して価格が安いということになりますから、購入のチャンスでもありますね。

おっしゃるとおりです(笑)。

増税による購入者負担増はない

――最後に3年連続年間2万台超えのFCAジャパンですが、好調の理由と2019年の見通しを教えてください。

2万台以上ということであれば3年連続ですが、販売台数増加ということであれば8年連続です。年々セールスネットワークを拡張し、ブランドイメージの強化に努めるなど、基盤を強固にしたことで好調を維持することができました。2019年の第1四半期も前年同期に比べて成長しています。

ポンタス・ヘグストロム(Pontus Haggstrom)/1965年生まれ。スウェーデン出身。1992年サーブ オートモービルズ社へ入社。日本ゼネラル・モーターズやゼネラル・モーターズ・アジア・パシフィック・ジャパンなどを経て、2008年にフィアット グループ オートモービルズ ジャパン社長に就任。2012年よりFCAジャパン社長兼CEO(撮影:吉濱篤志)

さらにジープ・ラングラーに多くの受注をいただいており、2019年も成長できると確信しています。私が普段乗っているステルヴィオや妻が使っているアバルトに対して街中の多くの人が関心ありげな視線を投げかけてくださるので、まだまだポテンシャルがあると考えています。だれかが見ていると気づいたら、じっくり見ていただくためになるべく速度を落とすように心がけています(笑)。

――今秋、消費税が上がる予定ですが、何か特別な対策が必要だとお考えですか?

2014年に5%から8%へ上がった際、日本の方々がトイレットペーパーを買いだめするのを変だなと思って見ていました。母国スウェーデンでは25%なので、8%から10%なんて微々たる差でしかないように思えるからです。日本の方々が消費税の税率に敏感なのは確かですが、秋に本当に上がるかどうかまだわかりませんし、上がったとしてもクルマ購入に際しては、その他の税の減税によって購入者の実質的な負担増はほとんどないのではないかと思っています。

塩見 智 ライター、エディター

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しおみ さとし / Satoshi Shiomi

1972年岡山県生まれ。関西学院大学卒業後、山陽新聞社、『ベストカー』編集部、『NAVI』編集部を経て、フリーランスのエディター/ライターへ。専門的で堅苦しく難しいテーマをできるだけ平易に面白く表現することを信条とする。自動車専門誌、ライフスタイル誌、ウェブサイトなど、さまざまなメディアへ寄稿中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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