投資ファンド氷河期、信用収縮が招く淘汰の足音

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問われるビジネスモデル 破綻企業投資の動きも

ここに来て、投資ファンドのビジネスモデル自体に、疑問を投げかける声も出てきた。

「ファンドの規模が大きいほど儲かるという報酬のあり方など、米国流の投資ファンドの仕組みをもう一度、再構築する必要があるのではないか」。MKSからラオックス再生を引き継いだコンサルティング兼投資会社、マイルストーンターンアラウンドマネジメントの早瀬恵三社長はこう問いかける。

投資ファンドの主な収益源は、組成したファンドの運用規模に応じた管理報酬と、投資のキャピタルゲインに応じて得る成功報酬の二つ。それゆえ、最低300億円のファンドを組成できれば、都内の一等地にオフィスを構え、投資ファンドの体裁を整えることができるとされる。また、投資ファンドに投資する投資家がターゲットとする利回り水準は、年率10~20%とかなりハイリターンだ。一般的な投資期間である5年間で企業価値が2~3倍になる計算だが、これが低成長下の日本でこれからも可能なのだろうか。

一方で、日本経済の本格的な不況突入に伴い、新たなビジネスの胎動も見られる。

「3月の決算期末に向けて、地銀を中心に不良債権を売り払う動きがヤマ場を迎える」(大手銀行)。その関連で、09年に本格化すると注目されているのが、破綻企業の株式や債権に投資する「ディストレス」といわれる投資手法だ。昨年末には、同年8月に民事再生法を申請したアーバンコーポレイションの不動産流動化事業などを、極東証券と広島銀行系の広島ベンチャーキャピタルが譲り受けることが決まった。

「今のところ様子見だが、相場の底が見えると買いに出てくるだろう」(日米投資ファンドの動向に詳しい江口直明弁護士)。さらに、通常の企業買収用に集めた資金を不良債権投資に向ける投資ファンドの動きも予想される。日本で本格的な活動を始めて10年。投資ファンドにとって試練の年がスタートした。

(写真:大手投資ファンドの1社・アドバンテッジパートナーズが投資したレックスホールディングス傘下のam/pm)

(撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済)

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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