鶏居酒屋「てけてけ」は鳥貴族と何が違うのか 首都圏で80店超展開、4年で売上高は倍以上に

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東京・高円寺に出店した新業態「やるじゃない!」(記者撮影)

魁の閉店と同時に、早くも次の新業態「やるじゃない!」を、田町駅前と高円寺駅前に出店した。主力業態のてけてけと同様、1本98円からの焼き鳥を中心に鶏料理を前面に打ち出す。ただ新業態ではお通し代がなく、てけてけでは300円以上するサワー類を190円で販売。焼き鳥以外のメニューも最大250円に設定するなど、より低価格を訴求している。客単価はてけてけで2500円程度の一方、新業態では1200円程度を見込む、いわゆる”せんべろ”業態だ。

高円寺と田町に出店した理由

新業態の出店場所に選んだ高円寺は、従来までのオフィス立地とは違い、比較的若年層が多いエリア。ここに、せんべろ需要があるとにらんでいる。客単価の安い業態で、こうした未開拓の地域でも通用することがわかれば、今後は都心部以外での出店余地の拡大につながる。

一方の、田町店。田町駅前には、徒歩3分圏内の目と鼻の先に「てけてけ」が2店舗ある。わざわざそうした場所を選んだのは、同じ鶏料理を売りにした居酒屋でも、業態が違えば自社競合が起きないのかを確認するためで、まさに実験的な出店だ。こちらも、周辺店舗の客数が落ちなければ、新業態で都内のオフィス立地をさらに攻める武器になる。

新業態でも鶏料理をメインに据えたのは、メニューの価格を低く設定するには、調達でてけてけとの規模のメリットを生かすしかないからだ。また、商品面や店舗内での仕込みの部分でも、これまでのノウハウを活用できる。

U&Cは新業態で「早急に100店舗を目指す」と掲げる。だが食材やアルコール価格の値上がり、人件費の高騰は止まらない。低価格業態を成功させるには、それをカバーするだけの客を呼び込む必要がある。単純に店舗数の拡大を追い求める従来の成長戦略は、限界を迎えつつある。新業態の先行きが、今後の戦略を左右する試金石となる。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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