代々木八幡駅「大工事」で小田急はどう変わるか ホーム延伸で新宿発着の各駅停車が10両に

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代々木八幡駅のホーム延伸に伴い、小田急は3月16日のダイヤ改正から新宿発着の各駅停車のうち一部を10両編成で運転する。各駅停車10両化による「輸送力の増強」は、今回の改正の目玉の1つだ。

2018年春の複々線化に伴う大幅な列車の増発で、従来は190%を超えていた小田急の朝ラッシュピーク時の混雑率は151%まで低下。8両編成の列車が減って10両編成が増えれば、数字のうえではさらなる混雑緩和が見込まれることになる。

だが、今回のダイヤ改正では、少なくとも平日の朝ラッシュ時に関してはそこまで大きな効果はなさそうだ。10両編成化される平日上下24本の各駅停車のうち、朝ラッシュ時の上り列車は新宿に7時台に到着する2本のみ。ほかは日中や夕方、夜間などに分散しているためだ。

●10両編成で運転する新宿発着の各駅停車
【平日・上り新宿着】
5:06、7:23、7:55、11:14、12:03、14:34、15:23、18:01、18:51、21:36、21:43、0:48
【平日・下り新宿発】
5:15、7:59、8:57、11:26、12:15、14:46、15:35、18:11、18:56、21:41、21:48、0:53
【土休日・上り新宿着】
5:06、8:03、8:14、11:24、14:43、18:03、21:23、22:03、0:48
【土休日・下り新宿発】
5:15、8:15、8:25、11:33、14:55、18:13、21:35、22:15、0:53

10両対応のメリットはこれから

もう1つ期待されるのが、ダイヤが乱れた際の対応の改善だ。これまでは新宿に到着した10両編成の快速急行や急行などを各駅停車として折り返し運転することができなかったが、今後はこれが可能になる。

ガラスと木を多用した明るい駅舎内。壁面の木材は神奈川県産だ。自動改札機などは旧駅舎の営業終了後に1晩で移設するという(記者撮影)
男性用トイレの壁面。色が濃い部分の木材は、旧ホームの基礎に使われていた木を活用し「駅の歴史」を受け継いでいる(記者撮影)

実際に今回のダイヤ改正では、折り返しが各駅停車となるため唯一8両編成での運転だった、小田急多摩センター8時10分発の通勤急行が10両化される。

「車両運用の柔軟性はだいぶ高まるのでは」との見方がある一方、別の関係者は「そういった運転整理(ダイヤが乱れた際の対応)についても考えていきたいが、すぐにできるかといえば難しいだろう」と話す。運用面での効果についても、現状ではどの程度あるか未知数だ。

約30年をかけて完成した複々線化により、朝ラッシュ時の混雑率が大幅に低下した小田急。その効果を実感する利用者も多いものの、一方で最速種別の快速急行に混雑が集中するなどの課題は残る。

今回の代々木八幡駅改良によってようやく実現する新宿発着の各駅停車10両化も、そのメリットを広げるには10両編成の車両増加などが必要になる。本領発揮には、まだ少し時間がかかりそうだ。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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