代々木八幡駅「大工事」で小田急はどう変わるか ホーム延伸で新宿発着の各駅停車が10両に

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新設したホームは、新宿寄りの最も狭い部分が幅3m、広い部分が8.5m。小田急の中間駅では初となるホームドアも設置した。

新しい島式ホームにはホームドアを設置した(記者撮影)
車両とホームの間が開く部分に設置した可動ステップ(オレンジ色の部分)。電車が到着すると約20cm張り出す(記者撮影)

「手動でホームドアの位置に合わせて停めるには速度を落とさなければならず、ダイヤを維持する点で課題があったが、TASC(定位置停止支援装置)の導入によって定位置の前後35cm以内で停められるようになった」(同社交通サービス事業本部電気部の及川哲課長)ことから設置できたという。

ホームドアは同駅に次いで下北沢駅(世田谷区)の地下1階ホームでも3月30日から運用が始まる予定だ。

もう1つの新機軸は、電車とホームの隙間を埋める「可動ステップ」だ。同駅は上り線が半径203m、下り線は半径207mという曲線上にあり、小田急全線の駅でもっともカーブがきつい。

このため、場所によっては電車とホームの間が大きく開いてしまう。対策として、上り線側の各車両中間2つのドアについては、ホームドアの開閉に合わせて約20cmのステップが張り出す仕組みを採用した。

高低差ある地域を結ぶ新駅舎

ホームの切り替えとともに、駅舎も線路上をまたぐ橋上駅舎に変わる。駅北側の日照を考慮したという斜めの屋根が印象的な建物で、面積は約1400㎡。新駅舎の整備は「駅の南北交通の円滑化も目的」(小田急)といい、改札階へのアクセス通路は駅の南北を結ぶ自由通路を兼ねている。今後は2019年度内をメドに、駅のすぐ西側で線路の上を通る山手通りの歩道と直結する通路を設置するほか、自転車専用の南北横断橋も整備する予定だ。

山手通りから見た新駅舎。ホーム上にあるオレンジ色の柱は駅舎と通りを結ぶ通路の支柱になる(記者撮影)

駅周辺は高低差のある地形で、山手通りの沿道から一段低い駅付近へは階段を上り下りする必要がある一方、これまで公共のエレベーターやスロープといったバリアフリー施設はなく、車いす利用者などは遠回りを強いられていた。「新駅舎の整備は、駅へのアクセス改善だけでなく地域のバリアフリー化にもつながる」と小田急は説明する。総事業費は非公表だが、自由通路や山手通りとの連絡通路を含めて小田急が全額を負担する。

ただ、地上と改札階を結ぶエスカレーターは旧ホームを取り壊してから設置するため、しばらくの間は階段とエレベーターのみだ。ホームを覆う屋根も、旧ホームの跡地に支柱を立てて設置するため工事はこれから。完全な「完成」にはまだ少し時間がかかる。

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