2009年の国内IT市場はマイナス成長に--IDCジャパン最新予測

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IT専門の調査会社、IDCジャパンの最新予測によれば、2009年(暦年)の国内IT市場は、世界経済の急減速と、ハードウェアの低価格化の進行の影響により、前年比1.7%減とマイナスに転じそうだ。

IDCジャパンは、企業の出荷状況調査にもとづいて四半期ごとに市場予測の見直しを行っている。2008年9月時点で同0.9%増としていた09年見通しを、直近の同12月時点の予測で下方修正した。「リーマン・ショック」を契機とする世界的な景気後退により、企業のIT投資意欲が急速に冷え込んでいることを反映している。

IDCの予測によれば、2009年の国内IT市場規模は12兆3788億円で、08年に比べ2000億円超縮小することになる。ハードが約5兆円、ソフト約2兆円、サービスが約5億円、という内訳だが、減少分のほとんどがハードウェアの落ち込みによるもの。需要減に加え、低価格PCの普及や高性能化などに後押しされる形でハード価格の低価格化が進んでいることの影響も大きいようだ。

国内IT市場は、2000年~01年のITバブル時に大きく減速したものの、それ以降は2008年までは年1~2.5%増となだからかな拡大を続けてきた。IDCグループの調べでは、世界のIT市場も2009年は従来予測の5.9%から3%弱に急減速する見通しだが、マイナスに転じるとの予想は現時点では日本のみ。ただ、2010年の国内市場については、今年後半にはGDP(国内総生産)がある程度は回復するとの前提で、08年の水準(12兆6000億円程度)にまで回復する、とIDCではみている。

「ハードの単価低下の動きは続くが、サービス、ソフトについては引き続き成長が見込まれるうえ、コンプライアンスの観点からも企業はIT投資を継続せざるを得ない状況にある。金融機関についても、世界的な規制強化の流れのなかでIT投資の需要は根強いのではないか」(IDCジャパン・佐伯純一リサーチバイスプレジデント)。

なお、IDCでは、2009年の市場規模予測を含め、国内のIT技術や市場トレンドなどについて、恒例の10大予測を発表した。予測の内容は以下のとおり(カッコ内は編集部)。
 1.国内IT市場は、これまでの拡大傾向から一変してマイナス成長となる
 2.仮想化サーバー(1台で複数台の仮想コンピュータのように分割作動できるサーバー)とシステム管理ソフトウェアの拡大がSIer(システム・インテグレーター)の選別を促進する
 3.PCの急速な価格下落によって、主要ベンダーの事業撤退が起こる
 4.バーチャルクライアント化が進展し、サーバーとストレージによる処理集中化への回帰が起こる
 5.モバイルPCの利用拡大と、携帯電話向けアプリケーションの増加によって、クラウドコンピューティング(インターネットを介してさまざまなソフトやサービスを利用する仕組み)への流れが加速する
 6.部門単位のSaaS(サービス型ソフトウエア)利用拡大はIT統制見直しの契機となる
 7.セキュリティ市場に新技術が投入され、システムインフラ整備の重要な要素となる
 8.データセンターのグリーン化(CO2排出量削減、熱効率改善等)への取り組みが本格化する
 9.日本のITベンダーによる海外進出が加速する
 10.ITベンダーのコンプライアンス(法令順守)への対応力が試される

(勝木 奈美子=東洋経済オンライン)

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