ルノーの日産「西川社長」の見方が変わった理由 スナール会長は日産との関係を改善したい
目下、スナール会長にとって、日産に関する最大の問題は、日産の取締役会である。フランス人、いや、ほとんどの外国人から見ると、日産の現取締役会は株主の利益を考慮した体制とは言い切れない。
それよりは、多くの日本企業と同じような取締役会――独立した会社の監督者でなく、戦略について議論する内部の役員の集まりにすぎない。彼らは経営について厳しい質問をしない。それがされていれば、ゴーン氏をもっと統制できていただろう。
スナール会長が望む取締役会の姿
スナール会長を知る関係者によると、同会長は日産の取締役会が、必要あらばトップに厳しい質問もできるような体制になることを望んでいる。また、同会長は、日産の次期取締役会はルノーの取締役会と協調すべきことから、取締役会のメンバーも重要だと考えている。
スナール会長にとって、“グッドニュース”は、6月の株主総会で取締役会のメンツが見直されることだろう。
取締役会メンバー9人のうち、ゴーン氏とグレッグ・ケリー取締役はすでに解任決議されているほか(4月8日に臨時株主総会開催予定)、志賀俊之取締役も6月の任期満了に伴い退任する見通しだ。ルノーのジャンバプティステ・ドゥザン氏とベルナール・レイ氏はどちらもゴーン氏の側近で70歳を超えていることから退任すると見られる。
社外取締役の元レーサー、井原慶子氏と豊田正和氏についても、「もともとゴーン氏が連れてきた人物で、企業経営の経験も知識もまったくない。社外取締役としてまったく取締役会に影響を及ぼしていなかった」(日産関係者)ことから、退任すると見ていいだろう。
では、逆に誰が「残る」のだろうか。
西川社長が残る可能性は大きい。元上司を裏切ったことに対して、一部のフランスの新聞から「ブルータス」というあだ名をつけられた西川社長は、ゴーン氏逮捕直後はルノー本社で最も人気のない人物だった。ゴーン氏に関する社内調査について、大株主であるルノーに一切報告も警告もしなかったからだ。
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