映画フロントランナーに学ぶ大統領選の変化 「政策から人柄」契機となるスキャンダル描く
1988年のアメリカ大統領選挙。コロラド州選出の上院議員ゲイリー・ハートは、史上最年少となる46歳で民主党の大統領候補のひとりとなった。
若くてハンサム、カリスマ性あふれるハートは、ジョン・F・ケネディの再来として大衆から愛されたが、マスコミがキャッチした不倫スキャンダルによって失脚を余儀なくされた。そしてこのスキャンダルがターニングポイントとなり 、政治家は、政策よりも人柄を重視するという価値観に変わっていった――。
2019年2月1日に公開予定の映画『フロントランナー』の原作は、ニューヨーク・タイムズ紙の政治部チーフを経て、現在はヤフーニュースで政治コラムを担当するマット・バイによるノンフィクション『All the Truth Is Out』。
この本の中でバイは、このスキャンダルが、ひとりの政治家の単なる転落劇というだけにとどまらず、アメリカがどのような形で大統領を選出するようになったのか、そしてアメリカの価値の基盤がどのように変化したのかについて指摘している。そして彼自身もこの映画の脚本、プロデューサーとして深く関わっている。
1988年大統領選の最有力候補と目されていたが…
1988年の大統領選予備選で最有力候補”フロントランナー”に一気に躍り出たゲイリー・ハート。しかし、たった3週間後、マイアミ・ヘラルド紙の記者がつかんだ不倫疑惑が一斉に報じられ、急展開を迎える。しかし彼はそのことを意に介することはなく、コメントを出すことさえも拒否したことが、報道の火に油を注ぐ結果となった。
勝利を目前に一瞬にして崩れ去る瞬間、ハートをはじめ、妻のリー、愛人と呼ばれたドナ、ジャーナリストたち、そして彼をサポートしたスタッフたちはどう感じたのか。この映画では、このスキャンダルの裏側を、多面的な視点から、圧倒的なスピード感と臨場感をもって描き出している。
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