セブンが買収、赤字のニッセンはお買い得? 苦境のカタログ通販大手は大化けするのか
セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ)が、ネット事業の拡大にアクセルを踏み込む。12月2日、同社傘下のセブン&アイ・ネットメディアはカタログ通販大手ニッセンホールディングスの買収を発表した。
株式公開買い付けにより、約126億円でニッセン株の50.1%を取得し、子会社化する。買い付け価格は1株410円と、直近1ヶ月間のニッセンの平均株価(317円)より約3割高い水準だ。
2日の会見で、セブン&アイの村田紀敏社長は、「お客様がインターネットを駆使して、あらゆる販売チャネルと連携・接続し、多様な購買活動が行われる時代になる」と強調。今回の買収について、「ニッセンのカタログ販売やネットの技術が、セブン&アイのリアル店舗の強みと融合すれば、新たな相乗効果が生まれると判断した」と語った。
ニッセンホールディングス(以下、ニッセン)の佐村信哉社長も、「ニッセンにはこれまで店舗がなかった。(ニッセンの)カタログ・ウェブとセブンの店舗網を融合させれば、今まで以上に大きな成長ができる。大化けするような新しいビジネスの展開もできる」と、強い意気込みを示した。
ニッセンは今期赤字に転落
新展開に期待を寄せるものの、ニッセンの置かれた状況は厳しい。13年1~9月期は34億円の営業赤字(前年同期は5.5億円の営業赤字)。通期でも前期6億円の営業黒字から28億円の赤字に転落する見通しだ。
不振の最大の要因はカタログ通販にある。今期、ニッセンは採算を重視し、カタログ発行数や広告を絞り込むなど、新規顧客獲得を中心とする販促費を抑制した。だが、その戦略は裏目に出てしまい、購買客数が予想以上に落ち込んでいる。海外から商品を調達する同社にとって、円安による原価率の上昇も痛手となった。
販売手法の構造的な課題もある。カタログの発行時期と実際の需要期の「ズレ」だ。ニッセンでは、メインの総合カタログを年5回(春、夏、盛夏、秋、冬)発行している。夏号の発行は3月下旬と、実際の季節よりも2カ月早く出すのが特徴で、衣料品などをシーズンになる前に先取りして買ってもらうというビジネスモデルだ。