日本の「オトナ女性」に中国人が憧れるワケ 日本映画やドラマが20~30代女性に大人気

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オトナになって、結婚・出産してもしなくても、女性の葛藤、成長、輝きを描写し、今まで見られなかったすてきな「オトナの女性=将来の自分」が具象化され、未来の理想の自分と繋がる。

40代になっても結婚する(中国では40代の女性が結婚するのは難しいし、結婚していないのがおかしいと思われる)のが普通で、苦労してはいるが、自分らしく生きている姿を羨ましく思う。アメリカドラマも多様な生活を送る女性を描写しているが、社会環境と価値観が違いすぎるため、日本ドラマのほうに親近感を抱きやすい。

もちろん、今までなかった「オトナ像」の提示だけではない。以前『深夜食堂』『東京女子図鑑』が人気となった理由としても紹介したが、日本映画・ドラマに中国人女性は共感しやすいのである。『東京タラレバ娘』の内容は、ちょうど恋愛、結婚、仕事に悩む30歳前後の中国人女性そのままだ。

完璧ではなく、どこかが欠けている主人公が私と似ているかもと思ったり、天海さんのストイックな私生活を知って頑張ろうと励まされたり、『カルテット』の中で松たか子さん言った「悲しいより悲しいことってわかりますか? 悲しいより悲しいのは ぬか喜びです」というセリフが心に刺さる。

翻訳された中国語のセリフだとしても、このような体験をした中国女性が、日本映画・ドラマの「心を刺すセリフ」に共感することで、孤独感の解消と癒やしを感じるのではないだろうか。

「ナチュラルビューティー」がすてき

日本の女優は、アジアの中でもナチュラルな印象を与える。しわも表情も「年齢相応」といえる。アンチエイジング意識が高い中国では、しわが大敵であり、女優も一般女性も化粧や加工ソフトで隠そうとしている。その反動もあり、欧米のオトナ女優や日本の女優の隠しすぎないナチュラル感が評価されている。

「誰だって歳をとるし、オトナになっても、しわ一本もないのは不自然で引く」のような声が増えている。「ボディラインを強調するよりゆったりとしたファッション」や、「ラグジュアリーブランドではなくローカルブランドでおしゃれ」も受け入れられるようになった。中国の若い女性は、高級品だけを追求することから、価値観が多様化し、「無理しなくていい」「自分のセンスでおしゃれしたい」と考えるように少しずつ変化してきている。

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