三井ホームが挑む、都心の「木造ビル」革命 東京都内に初登場、密集敷地を有効活用

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木造ビルの室内は、外観よりも広々とした印象

今回のビルは今年2月に着工し、11月に完成した。鉄骨だと、コンクリートが固まるまで保護する手間などもあり、最低でもこれより1カ月は工期が長引いたという。総工費も1億2000万円と、鉄骨構造で建てるより2~3割コストを抑えられた。

三井ホームの五井尚人・東京東支店長は「東名阪の都市圏で、容積率の高いビル密集地域がターゲット。引き合いは強い」と、国内での市場開拓に手応えを示す。

木造ビルは、欧米ではすでに一般的だ。2×4の本場であるカナダでは、ホテルや商業施設など5~6階建ての中層建築で木造が採用されている。スウェーデンのストックホルムでは、34階建ての木造超高層ビルの建設案まで浮上している。

日本で高層ビルは難しい

ただ、日本での普及には課題がある。コストとの折り合いだ。

現行の建築基準法では、1時間の耐火性能を備えていれば最上階から4層以内の木造建築が認められている。したがって、今回の銀座の物件も、正確には木造とRC(鉄筋コンクリート)のハイブリッド建築(1階のみRC、2~5階が木造)だ。RCの階数を増やせば6階建て以上のビルも建てられるが、そうなるとコストメリットは薄れてしまう。

こうした事情もあり、「今のやり方だと5階建てがベスト」(五井支店長)。とはいえ、ビルの高層化が進む都心部において、5階建てではどうしても見劣りしてしまう。普及を拡大させるためには、木造ならではのデザインなど、鉄骨構造のビルにはない付加価値を生み出すことが必要になりそうだ。

猪澤 顕明 東洋経済 記者

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いざわ たかあき / Takaaki Izawa

1979年生まれ。慶應義塾大学卒業後、民放テレビ局の記者を経て、2006年に東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、ニュース編集部などに在籍。2017年に国内のFinTechベンチャーへ移り、経済系Webメディアの編集長として月間PVを就任1年で当初の7倍超に伸ばす。2020年に東洋経済へ復帰、「会社四季報オンライン」編集長に就任。2024年から「東洋経済オンライン」の有料会員ページを担当。

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