「医療的ケア児」生きのびた子どものその後 彼らが社会参画するには、何が必要なのか
また、大阪府豊中市では人工呼吸器を使用する児童が安心・安全に学校行事に参加できる体制についての研究なども行っている。
大阪府豊中市教育委員会事務局の担当者は、前述の教育方針のもと、「大阪府下の市町村では、就学先の決定については、本人保護者の意向を最大限に尊重して市町村教育委員会が就学先を決定しています」と述べる。
このように自治体が、地域における医療的ケア児の受け入れを推進しているケースもある。
社会の理解が受け皿をつくる
自身も医療的ケア児の父親であり、全国医療的ケア児者支援協議会・親の部会部長を務める小林正幸さんは、「医療的ケアが必要な子どもたちが学校に行きたいと言っても、責任がとれないといった後ろ向きな話になってしまい、子どもを受け入れようという方向に話が進まないのは、社会全体が多様な子どもたちを受け入れる体質になっていないということでもあると思います」と話す。
また、社会の理解を得るための情報発信の必要性を説く。
「医療的ケア児という存在自体がまだまだ知られていないため、一般の健常者にとっては、一緒に過ごす上で曖昧な不安もかなり多いはずです。これはとても自然なことで、医療的ケア児を知ってもらい、不安をとりのぞくための活動はこれからも必要です」
2016年5月25日、児童福祉法および障害者総合支援法の改正がおこなわれ、医療的ケア児の支援の必要性がはじめて法律に明記された。
これによって、地方公共団体は、医療的ケア児が必要な支援を円滑に受けることができるよう、「保健」、「医療」、「福祉等」の各関連分野の支援を行う機関との連絡調整を行うための体制整備を行うよう努めることとされた。
ただし、あくまでも罰則規定のない努力義務のため、医療的ケアを必要とする子どもたちやその家族が自らの歩む道を選択できる社会をつくるためには、私たち一人ひとりが自治体の動きに注視していくことも大切だ。
読者の皆さんにも、医療的ケアを必要とする子どもたちが社会参画していく上で何が必要なのか、共に考えていただければと思う。
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