山口県の老舗旅館が保護猫活動を始めた理由 猫の命をつなぐ、てしま旅館に賛同が集まる
2016年6月に猫庭の運用をスタート。飼い主のいない猫を引き取り、世話をしながら里親を募集して、1年足らずで34匹が里親のもとへ巣立った。
もっと受け入れるため2017年6月に再度クラウドファンディングを行い、400万円を超える支援をもとに、猫庭シェルターを2階建てに増築した。
猫庭の取り組みを開始して、1年半が経った。猫庭には常時30匹ほどの猫が暮らしており、満員の状態だ。
これまで引き取った猫は200匹にのぼり、そのうち170匹ほどを新しい飼い主に譲渡してきた。
「猫たちの尊い命をつなぎたい、その一心から、とにかく勢いだけで猫庭を立ち上げました。
猫の世話は主に娘たちが担当していて、エサ代や医療費、去勢手術代などは旅館の宿泊代から捻出しています。病気になった猫を別室で看病したり、猫を引き取ってほしいという連絡がひっきりなしに入ったりと、24時間対応で実情はとても大変です」と手島さんは打ち明ける。
猫を譲渡すれば終わりという話ではない
猫の譲渡は、単にモノを譲るのとはわけが違う。猫庭では猫一匹ずつの情報をホームページで公開し、備え付けのカメラで猫庭の様子をLIVE配信。定期的に譲渡会も開き、里親を広く募集している。
「新しい飼い主さんの話をよく聞き、猫の性格や健康状態などをしっかり伝えたうえでお渡ししています。その後もLINEなどでコミュニケーションを取り、状況を報告してもらいます。多くの命を助けるためにはスピーディに譲渡したいけど、相手がどんな人か、本当に愛情をもって育ててくれるのかを見極めることが重要。そこが難しいところです」
猫庭を立ち上げてから、旅館には猫好きのお客さんが増えて、遠くは関東からのリピーターもいる。
「猫を旅館のウリにしようと考えたことはないけれど、結果的にはビジネスモデルになっています。
猫庭の理念に賛同してくださったり、旅館自体の接客や料理を目当てに来てくださるお客さまのおかげで、猫庭の活動は成り立っています。埼玉の病院でも保護猫活動をしたいと問い合わせがあり、私たちのやり方を伝えてサポートしました」
猫庭の活動費を捻出するために、「猫庭日和」というフォトブックを毎月発行したり、次女の姫萌ちゃんが描いた猫のイラストをあしらったTシャツやマグカップなどオリジナルグッズを販売している。
そこから、思いがけない展開も生まれた。
今年9月から、山口県にあるユニクロのシーモール下関店と長府店の2店舗限定で、猫庭とユニクロがコラボしたTシャツとトートバッグを販売しているのだ。
売上金の一部は猫庭の運営に充当される。
きっかけは、フランチャイズである2店の社長・吉村邦彦さんと手島さんが知り合い、ダメもとで「猫庭Tシャツをユニクロで売りたい」と相談したこと。
ユニクロの本社は山口県にある。吉村さんはユニクロの柳井正社長のもとで同社の成長期を支えた人物であり、本部に情熱的にかけあってくれた。
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