爆笑問題「不謹慎ギリギリな笑いを狙う理由」

太田光が語る「芸人の果たすべき役割」

――お二人の時事漫才を活字にしたものが初めて書籍としてリリースされたのは『時事漫才 爆笑問題の日本原論』(以下、『時事漫才』)です。この1冊目に収録されている内容をいま振り返ってみると、阪神大震災や一連のオウム事件など、歴史に残るような大きな事件が多かったですね。そういう時期には時事漫才をやりやすいのか、やりづらいのか、どちらだったんでしょうか?

太田 光(おおた ひかり)/1965年5月13日埼玉県生まれ。日本大学芸術学部中退。身長170cm(撮影:梅谷秀司)

太田:テレビとライブでは全然違うね。テレビでは一切できなかったからね。当時連載していたのが『宝島30』という、割と「何でもあり」の雑誌だったので。何でも書いていいってことだったから成立したのかなって。

田中:北朝鮮問題もあったからね。金正日……じゃなくて当時は金日成か。あれがいちばん、ありえなかった。テレビで「北朝鮮」っていう言葉すら言っちゃいけない時代だったから。「朝鮮民主主義人民共和国」って言わなきゃいけなかった。

太田:あの年(1995年)はとにかく地震とオウム一色で。ライブも年間通じて毎月それだったね。ほかのネタがウケないんだもん。誰かが結婚した、っていう話をしても全然ダメ。テンションが下がるっていうか。

田中:インパクトがまるで違うから。ほかの出来事を何も覚えてないですからね。それが強すぎちゃって。

世の中の話題がほぼ「文春砲」だった

――最新刊の『時事漫才』に収録されているのは2015年5月から2018年9月までの雑誌連載なんですが、この時期はどんな時代だったと思いますか?

田中:この時期はベッキーとかSMAPから始まる一連の芸能ニュースが強くて。ネタにもあるように、次から次へと千本ノックみたいにやってくるんじゃねえよ、こっちはまだ消化しきれてないよ、っていう感じでした。世の中の話題がほぼ「文春砲」でしたよね。

太田:ベッキークラスのニュースになると触れずには済まされないところがある。客席も読者も「爆笑問題はどういじるだろう」というふうに見ているだろうし。

――次から次へと大きいニュースがあると、ネタを作りやすいものなんでしょうか。

太田:まあ、みんなが知っているニュースはいちばん作りやすいとは思うんだけど。ただ、たとえば「ベッキー」と「ゲス不倫」っていうワードを使うとしたら、単純なボケでは許してくれないだろうな、っていうのがあって。

田中:みんながやっちゃうからね。ネタとしてじゃなくても、会話の中とか、ネットとかで。

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