コインランドリーが今、こんなにも熱い事情 この20年で店舗数倍増!大物も楽々洗える

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一時は生産が追いつかず、納品まで9カ月待ちという状況も発生。コインランドリー機器メーカー各社は、生産能力の増強を急いでいる。前述のTOSEIは2017~2018年度にかけて22億円を投じ、生産能力を2倍近くに引き上げ、月産2000台体制を目指す(2018年度上期時点では550台)。販売台数、売上高ともトップのアクアや、大手の一角を占めるエレクトロラックス・ジャパンも、それぞれ能力増強を予定している。

機械も進化している。利用者がコインランドリーを離れても、洗濯が終わるとメールなどで通知してくれたり、洗濯物を盗まれないように遠隔でドアをロックできたり、中をのぞかれないように洗濯・乾燥中に洗濯窓を半透明にしたりと利便性を高めているのだ。運営者側も店舗にいなくとも各ランドリーの稼働状況を把握できたり、機械の故障が発生した場合でも遠隔操作でトラブルが回避できたりするようなシステムが構築されている。

まだまだ伸びる余地あり!?

勢いのあるコインランドリー業界だが、「日本全国平均の利用率は、世帯ベースで5~8%ほどと推計している」(コインランドリー大手のWASHハウス阿久津浩・常務取締役管理部長)と、実はまだ利用者はそう多くない。中澤編集長も「布団が洗えるということを知らない人が大半。もっと認知が広がれば、利用者が増える可能性はある」と話す。

ファミリーレンタリースの「ランドリエ」。洗濯代行サービスなど差別化も求められている(記者撮影)

ただ、コインランドリーは他社との差別化を図りにくい業態でもある。コインランドリー用の洗濯乾燥機はアクア、TOSEI、エレクトロラックス・ジャパンの大手3メーカーがほぼ寡占。店舗名、ブランド名は違っても、使っている機械が同じなので、他社と同じサービスを提供することになる。店舗数が増え近隣に競合店ができるにつれて、価格競争に陥る懸念もある。

166業界の勢力図がひと目でわかる『「会社四季報」業界地図 2019年版』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

「最終的には広告モデルに移行して、サービス自体は無料にすることも考えている」(阿久津常務)など、独自路線を模索する企業も増えてきた。店員をおいて、洗濯から畳みまで行う洗濯代行や、洗濯物の集配を手掛ける店舗もある。「店員を置くとトラブルへの対応も迅速にでき、女性客が増えている中で犯罪の予防にもなる。また集配は思った以上に高齢者の利用が多い。今後は有人店舗が増えていくのではないか」(鈴木國夫会長)。

課題はほかにもある。ガスを使うコインランドリーは、排気などに使う管の素材に決まりがあるにもかかわらず、「安くすませるために、違法な材料を使っている店がある」(阿久津常務)との指摘もある。また都市計画法と建築基準法上、コインランドリーは工場扱いになることが多い。このため住宅地への出店が制限され、必要以上に出店可能地域が限られるというのだ。急成長しているからこそ、直面する課題も今後は増えていくことになる。

田野 真由佳 東洋経済 記者

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たの まゆか / Mayuka Tano

2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。

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