若者が来ない!「自衛隊員募集」の深刻現場 ネットやアニメで募集活動を強化するが…

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自衛隊の募集業務に関わる人員は地方協力本部を中心に約5000人程度で、この10年間ほとんど変わっていない。

募集活動は、地元のイベントに参加して広報活動を行うほか、大学や高校を訪問し説明会を行う。若者にアピールするため、アニメやアイドルを使いソフトなイメージを打ち出すポスター等も多く使用されている。

陸上幕僚監部・募集広報担当の林田賢明3等陸佐によると、2017年度からは、テレビコマーシャルから、完全にインターネットを通じた広報にシフトした。同氏によると、これにより「自衛官募集ホームページのアクセスは格段に伸びている。(17年度は)16年度比で3倍くらい。今年度もまた伸びている」という。

ただ、アクセス数の増加が応募者の増加に直接結びつくわけではない。就職が売り手市場と言われる中、古い体質の組織できつい仕事のイメージがある自衛隊を希望する若者は少ない。

防衛大学校を卒業しても…

橋本大季氏(24)は、陸上自衛隊の人材養成のための高等工科学校を卒業し防衛大学校に進んで2016年に卒業したが、自衛隊には入隊せず、卒業と同時にファイナンシャルプランナーになろうと起業した。

北海道出身の橋本氏が工科学校に入学したのは家が裕福でなかったためで、「国を守るという意識はなかった」という。防衛大学在学中に、尊敬する先輩が自殺したことがきっかけで自分の人生について考え始め、「おカネの勉強をしっかりしようと思った」と話す。

がっしりとした体格だが、笑顔が優しい印象の橋本氏は言う。「自衛隊に入ってくる人たちは、貧しい、家の事情で入ってくる人が多いというのが事実」。

一橋大学の佐藤教授は、日本にはずっとポバティードラフト(貧困徴兵)というものがあったと指摘する。そして「おカネをもらって教育を受けながら安定した職に就くことに魅力を感じるような層が、これからもっともっと顕在化してくる」と予想する。

(宮崎亜巳、Linda Sieg 編集:田巻一彦、田中志保)

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