説明がヘタでも売る営業が実践する工夫6選 どれだけ素晴らしいプレゼンも現物には劣る
ゴルフクラブやテニスラケットなどのスポーツ用品では、無料でクラブやラケットを貸し出してくれるお店もあります。自動車の購入を検討するときは、カーディーラーで試乗をさせてもらえます。服を買うときは、お店に現物が置いてあり、試着させてもらえます。電子書籍の購入を検討している場合には、無料サンプルがダウンロードできるものもありますし、Amazonでは、本の中身が、一部分だけ閲覧することができるものもあります。
家電なども安さを求めてネットで購入する時代になりましたが、まだまだ家電量販店で、実際に現物を確認してから購入したいという人も多いのが実情です。
このように、日常のいろいろな場面において、心理学用語でいう「保有効果」を狙った取り組みがされているのです。「保有効果」とは、自分が所有するものに高い価値を感じ、手放したくないと感じる心理現象のことですが、手に取ってしまった後には断りにくくなったり、一度手に取ったり、試してみたりして、現物を確認してから購入したいという人間の心理も含まれています。
では、この効果をどのようにして営業活動に取り入れればよいのでしょうか?
現物の力はあなどれない
個人向けの販売の場合であれば、実際に商品を見せて販売することが当たり前になっています。ですが、法人向けの営業となると、現物をお客さまに手にとってもらい、体感していただくというプロセスを忘れてしまっている営業マンが目立ちます。
どんなに上手な説明よりも、現物を見せ、手にとってもらう、体感してもらうことで、お客さまにその商品のよさを理解してもらう方が、何倍も早く、確実に結果を出すことができます。
以下に、この「保有効果」を使う際に効果的な6つのケースを紹介します。
1:商品があれば、必ずサンプルを持参する
工具、文房具、雑貨など、持ち運びができる商品は、必ず現物をお客さま見せてください。動作する商品は、お客さまに手にとってもらって確かめてもらうのが一番です。すべての商品を持ち歩くことはできませんので、メインとなる商品だけでも常備しておくとよいでしょう。お客さまが商品に興味をもってくれた場合には、次回の訪問時にも必ずサンプルを持参して、手にとってもらってください。現物をお持ちするというだけで、次のアポも取れます。
会計ソフトなどのソフトウエア商品は、現物ではなく、パソコンにインストールしたデモ機を持参し、体感してもらうのがベストです。
中には、半導体などのように現物よりも性能やデータが重視される製品もありますが、私が会社員時代に扱っていた電子部品(コネクターやスイッチ)は、実際の大きさや動作したときの感触を確かめてみたいというお客さまがほとんどでした。そのため、サンプルケースを作って、常に持ち歩いていました。どれだけ一生懸命に説明しても興味をもってもらえなかったお客さまとの商談が、現物を見せたとたんに成立したことは何度もありました。