ところで、BMWには「M」「Mパフォーマンス」「Mスポーツ」と3種類のMが存在する。「M2」「M3」「M4」「M5」「M6」「X5M」「X6M」と、単にMの前か後にひとケタ数字がつくモデルは、BMWのレーシングカーおよび高性能モデルの開発、BMWインディビジュアルという特別注文への対応、それにドライビングエクスペリエンスなどのイベントの実施という3つの役割を担うBMWの子会社、M社が手掛けたモデルで、動力性能も価格も飛び抜けて高いトップオブBMWだ。
Mの遺伝子を受け継ぐ「Mパフォーマンス」モデル
今回のX4「M40i」のように、2ケタもしくは3ケタの数字が付くモデル(現行ではX4「M40i」のほかに「M140i」「M240i」「M760i」をラインナップ)が2種類目のM。前述のMモデル同様にBMW M社が手掛け、ベースモデルに対しワンランク上の動力性能が盛り込まれているが、Mモデルほどではない。
BMWはこれらを「Mパフォーマンス」モデルと呼んでMモデルと区別している。3種類目のMが今回の「xDrive 30i Mスポーツ」をはじめほとんどの車種に設定されている、グレード名の後に「Mスポーツ」がつくモデル。ベースモデルの内外装に専用の加飾パーツを備えたモデルであることを指す。
BMW Mセールス・マネジャーの松井優希氏は「どちらもBMW M社が手掛けたモデルなのですが、サーキット走行まで視野に入れているのがMモデルで、そこまでではないのがMパフォーマンスモデルと考えてください」と、やや複雑なMモデルとMパフォーマンスモデルの位置づけについて語った。現状X4にはMモデルが存在しないが、松井氏が「今後Mモデル、Mパフォーマンスモデルともに車種を拡大していきます」と述べるように、将来はX4にもX5MやX6Mに相当するMモデルが追加されるだろう。
アウディもBMW同様にパフォーマンスに応じて各車種をベースモデル、Sモデル、RSモデルに分類する。このうちSモデルとRSモデルをM社に相当するアウディスポーツ部門が手掛ける。メルセデスもかつてはモデルを3段階に分類していたが、わかりやすさを優先し、現在はベースモデルとAMGモデルの2種類にまとめた。
BMW、メルセデス・ベンツ、アウディ。長年しのぎを削るジャーマン3はモデル構成や販売戦略などにおいて互いを激しくチェックし、成功例は即座に追随してきた歴史を持つ。4WDモデルを充実させて存在感を増したアウディにならって今ではBMWもメルセデスも幅広い車種で4WDを設定するし、CLSという4ドアクーペを追加して成功したメルセデスにならってBMWはグランクーペシリーズを追加し、アウディはスポーツバックシリーズを上級モデルにも拡大した。
SUVにクーペスタイルを持ち込んだのはBMWの「X6」が早く、今ではメルセデスにもクーペスタイルのSUVが存在する。こうしたジャーマン3の動きを、それ以外の世界中のメーカーが追随するという図式も昔から変わらない。X4のようなスモール~ミドルクラスのクーペSUVが今後どんどん増えていくだろう。
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