「満員電車」あと何本増発すれば緩和できる? 東海道線や中央線、東西線…主要路線を検証

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小田急線

小田急は今春完成した複々線での1時間最大36本運転により、すでに混雑率は151%まで緩和されている。来年からは新宿発着の各駅停車10両化が始まり、全列車が10両化されれば国交省目標の150%を切ることができる。もし100%にするならば53本の運転が必要で、あと17本足りない。そこまでしなくても、120%まで下がればいいということであれば必要な本数は44本で、あと8本増やせばよい。増やすとすれば、複々線化後も混雑が集中する快速急行の増発に期待したい。

JR東海道線

東海道線は最混雑区間の川崎―品川間で1時間最大19本の運転。同区間の混雑率は187%だ。仮に100%を目指すならあと17本、120%なら11本の増発が必要だが、どちらの目標でも東海道線をもう1本造るくらいしないと実現できないだろう。

一方、平塚―戸塚間では1時間に最大22本が走っている。このうち3本は湘南新宿ラインの電車で、戸塚から横須賀線の線路へ入り、湘南新宿ラインへ抜けた分の補填はされていない。そこで、湘南新宿ラインへ抜けた分の3本を横浜始発で増やしたらどうだろう。横浜から東京までの短距離でグリーン車を利用する人は少ないだろうから、全車普通車の列車でよい。

常磐線快速の車両(E231系)。上野東京ラインで品川駅まで乗り入れる(撮影:尾形文繁)

たとえば、上野東京ラインで品川まで乗り入れている常磐線快速(緑色のライン)の車両を早朝に横浜まで走らせ、同駅始発の折り返しとして運転すれば、川崎―品川間の混雑率は計算上157%まで下がる。さらに相鉄・JR直通線が開業(2019年度予定)すれば横浜を経由する旅客が幾分か減るので、150%を切れるかもしれない。

快速に乗客が集中する中央線

JR中央線快速

中央線快速は現状1時間最大30本運転で、混雑率は184%である。中央線そのものは複々線での運転で輸送力はかなりあるが、並行する各駅停車の混雑率は97%。乗客が快速に集中しすぎており、かなりアンバランスだ。

各駅停車へ誘導するために、たとえば朝の快速はすべて吉祥寺から中野までノンストップにするといったことを考えてもよさそうだ。しかし旧国鉄は、中央線の複々線化時に地元への見返りとして平日は杉並区内のすべての駅に快速を停めるという約束をしてしまったがために、今でも快速は中野まで各駅停車という状況が続いている。

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