東横線「新横浜直通」で新幹線アクセス激変か 東急エリア住民は品川乗り換えからシフトも

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さらに、東横線沿線の比較的都心寄りに住んでいる人の中には、相鉄・東急直通線の開業を機に東海道新幹線の利用駅を品川から新横浜に変更する人が出てくるかもしれない。

朝の時間帯であれば満員電車で汗だくになりながら大混雑する都心のターミナル駅に出る必要がなくなるのもさることながら、品川―新横浜間の新幹線代が浮くというメリットもある。品川―名古屋間は「のぞみ」(通常期の指定席)で1万1090円かかるが、新横浜―名古屋間(同)なら1万0450円。その差は640円なので、在来線運賃を考慮しても新横浜経由のほうが安上がりになりそうだ。

問題は、東横線の過密ダイヤに相鉄・東急直通線がどこまで割り込めるかだ。相鉄の東横線渋谷乗り入れが困難ではないかとされてきた根本的な原因がここで立ちはだかる。鉄道・運輸機構の事業計画によれば、相鉄の東急線方面への直通は朝ラッシュ時毎時10~14本、そのほかの時間帯は毎時4~6本が予定されている。このうちの何本が渋谷方面に直通できるだろう。

平日の午前7時台に日吉から渋谷に向かう東横線の上り列車は22本、午前8時台は24本。ここに相鉄・東急直通線の列車を追加して走らせるのは簡単ではなさそうだ。かといって、横浜方面からやってくる列車を減らして、その分だけ相鉄方面からやってくる列車を割り込ませると、横浜―日吉間の運行本数が減るため、利用者の反対は必至だ。東急としては渋谷―新横浜間の直通運転をぜひとも実現させたいが、ダイヤ編成がネックになっているというのが実態だろう。

新横浜と品川の利用者数が逆転?

蒲蒲線構想はいきなり東急線と羽田空港との直通を目指すのではなく、最初の段階では京急蒲田で「いったん乗り換えていただく」(東急の髙橋和夫社長)という前提だ。この例に倣えば、渋谷―新横浜間も大量の直通列車をいきなり走らせるのではなく、当初は日吉で乗り換えてもらうというのが妥当だろう。同一ホームの対面乗り換えなら、菊名での横浜線と東横線との乗り換えよりも簡単だ。

新横浜駅では相鉄・東急直通線の地下駅新設工事が進む(2016年11月撮影、写真:clear_eye/PIXTA)

なお、渋谷―新横浜の直通は平日の朝ラッシュ時には至難の業であっても、平日の日中や土休日であれば、ハードルが低そうだ。毎時4~6本のうち半分の2~3本が渋谷―新横浜直通になるだけでも沿線住民にとっては便利さが増すだろう。

2016年度における東海道新幹線の駅別1日乗車人員を見ると品川は3万5000人、新横浜は3万3000人。新横浜は品川を若干下回るが、相鉄・東急直通線の登場で両者の力関係が逆転する可能性もある。相鉄の都心直通はさまざまな形で沿線住民の鉄道利用に変化を与えそうだ。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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