大塚家具、無借金でも自主再建が難しい根因 3期連続で大幅赤字に、「提携先交渉」も難航

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8月上旬から相次ぐ“身売り”報道に乗じて、3年前の経営権争奪戦の末に会社を去った父・勝久氏は複数の媒体でインタビューに応じ、久美子社長に「連絡をくれたら相談に乗る」と呼びかけた。

ただ、元社員の1人は「共通の仕入れ先などから、(勝久氏が2016年に開業した)匠大塚の経営も順調ではないと伝え聞いていた。それもあってか勝久氏に支援を求める話が社内で出ることはなかった」と振り返る。

創業50年を前に迎えた危機

一方で、久美子社長は出資を含めた提携先を1~2年前から探してはいた。複数の関係者によると、家具事業とのシナジーを見込める大手を中心に、大和ハウス工業やリクシル、中国のインテリア雑貨会社、ヨドバシカメラなどが候補に挙がったが、話がまとまることはなかった。約20年間も無借金経営を続けたため、メインバンクの三井住友銀行が有力候補として具体的社名を提案することも少なく、社内の危機感は乏しかった。

昨秋から業務資本提携を結ぶティーケーピーの河野貴輝社長(右)と会見に臨む大塚家具の大塚久美子社長(左)。この局面をどう打開するのか(写真は今年3月の会見のもの、撮影:今井康一)

現在は昨年11月から株式の6%を保有するTKPによる追加出資の可能性を含め、複数の候補と交渉を進めている。しかし久美子社長は経営権を維持するため、特定の企業に過半の株式を取られないことを希望しているとみられ、この先も交渉が難航する可能性はある。

来年3月には創業50年を迎える大塚家具。記念すべき節目の年を前に、久美子社長は会社の存続に向けてどういう道を選ぶのか。タイムリミットは目前に迫っている。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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