フジテレビが探る「視聴者との新しい関係」 FNNjpプライムオンライン発のネット戦略
――「ホウドウキョク」で実践してきた“攻め”のコンテンツづくりとは、どのようなものしょうか。
FNNではかなり前から、テレビコンテンツの二次利用を中心にした「FNN-News.com」というメディアを運営してきました。例えば、ニュース番組でアナウンサーの言葉を部分的に切り出してテキスト化したり、ニュースの一部をそのまま掲載したりするのが主なコンテンツでした。しかし、ネットユーザーにはネットユーザーならではのニーズがあるはずで、コンテンツの作り方として消極的であったのは否めません。そこで、ネットユーザーのニーズに応えようとフジテレビが始めたのが「ホウドウキョク」でした。
「ホウドウキョク」では、動画内の言葉をそのまま使うのではなく、単体のテキスト記事としても読めるようにアレンジしたり、最近ではYahoo!ニュースと連携して動画コンテンツを配信したり、ネットメディアならではの取り組みに注力してきました。
「FNN.jpプライムオンライン」でもそうしたノウハウを踏襲しながら、ニュースの枠を越えてドラマやバラエティなど幅広いジャンルに題材を求め、“人気番組を読む”という新しいユーザー体験を提供していくつもりです。
――局内における「FNN.jpプライムオンライン」の運営体制は?
現状では、「ホウドウキョク」のスタッフと新たに専属で加わったメンバーで「FNN.jpプライムオンライン」の運営をしています。報道担当の専属スタッフがおよそ20人。このほか、ジャンルごとに解説委員や専門の記者を起用するなど、コンテンツによってさまざまな人材が動いています。
この体制で、テレビ番組を元に記事を作成するほか、取材に基づいて制作したオリジナル記事を10~20本、速報重視の動画コンテンツを30~40本を毎日24時間配信しています。
「FNN.jpプライムオンライン」のマネタイズ戦略
――「FNN.jpプライムオンライン」のページには、広告の類いはほとんど見当たりません。マネタイズ戦略はどのように考えられているのでしょうか。
会社としてマネタイズを重視していないわけではないのですが、一方で僕らはまず報道機関なので、大もうけする必要はないとも考えています。それよりも1人でも多くのユーザーに見てもらうことが重要です。そのためアクセス数を追うのではなく、少なくとも「1週間に1度はFNNを思い出してアクセスしてくれるユーザー」の増加を目指しています。