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新しいホームドアが続々と登場

この問題を解決するために、さまざまなメーカーが新しいタイプのホームドアの開発に取り組んでいる。それらの中には鉄道事業者と組んで実証実験を始めたものもある。

西武鉄道が新所沢駅に導入したのは、「戸袋移動型」と呼ばれるタイプだ。列車の進入前に戸袋とドアが移動して、列車のドアの位置でホームドアの扉がぴたりと止まる仕組みだ。開発した東京大学と神戸製鋼所にかつて取材した際、担当者は「戸袋が動くスピードをどう設定するかが難しかった」と語っていた。当時のデモンストレーションではゆっくり動いていたが、その後、所沢駅に導入された機種は結構きびきびと動いていた。

着想はすばらしいが、大がかりな構造だけに、1台当たりの価格が現行のホームドアよりも高くつくのではないかという懸念はある。

三菱重工交通機器エンジニアリングが開発したホームドアは、長さの異なる戸袋やドアを組み合わせて、ドアの数が異なる鉄道車両にも対応可能とした。ホームに到着するあらゆる列車のドア位置を事前に調べておけば、絶対にドア位置にはならない場所がある。そこに戸袋を設置する。西武鉄道の「戸袋移動型」よりも簡単な仕組みであり、「こちらのほうが優れているのでは?」と東京大学の開発担当者に聞いてみたら、「列車が定位置で止まらなかったときのことを考えれば、うちが開発したホームドアのほうが優れている」とのことだった。一方で、三菱重工側は、設置コストの安さもアピールしている。

ホームドアにはほかにも制約がある。駅ホームがホームドアを設置可能な構造になっているかどうかだ。単に土を固めただけのような、重い構造物を設置することを想定していないホームも数多く存在する。その場合はホームの改良が必要となるが、下手をすると、その工事費用がホームドアよりも高くつきかねない。

そこで考えられたのが、ドアは左右に開くという先入観を取り払い、シャッターやすだれのようにドアを上下させるタイプのホームドアだ。板状のドアの代わりにロープやバーを使うことで重量を軽くすることに成功した。戸袋がないため車両のドア位置が異なっても問題なく使えるし、さらに言えば、仕組みが簡単なため、コストも安い。

このタイプのホームドアが10月25日、東急田園都市線つきみ野駅に設置された。列車が到着すると、20本以上のワイヤを板状に組み合わせたさくが2メートルの高さに上がり、列車が発車すると再び下に降りてくる仕組み。日本信号の開発によるものだ。

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