JR東日本「えきねっと」はなぜ使いにくいのか 巨大な座席予約システム自体にも課題がある

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一方、航空券の場合は航空会社のサイトだけでなく、旅行会社などのサイトでも予約でき、さらに航空券とホテルなどをまとめて予約できる例が多い。これは予約システムがオープン化されており、外部の企業のサイトからも参照できるようになっているためだ。

「えきねっと」に限らず鉄道各社の予約サービスは、自社で囲いこんでいるという問題があると太田さんは指摘する。本来ならば、外部の乗換検索サービスから空席照会などが参照できるようにするべきである。現在は多くの人が乗換検索アプリで利用する列車を検索していることを考えれば、そこからシームレスに予約ができてもいいはずだ。

JR東日本も改善は行っている。「『えきねっと』が使いづらいという声はあるか、改善の予定はあるか」と問い合わせたところ、「頂戴いたしましたご意見・ご要望につきましては、サービス改善の参考とさせていただいております」との返答があった。

利用者からの意見を受けた改善の一例としては、従来は登録できるメールアドレスが携帯電話のキャリアメールのみだったのが、その他のメールアドレスでも可能になった点がある。「2017年6月1日からスマートフォン版、携帯版『えきねっと』の会員登録について、すべてのメールアドレスで登録を可能にし、スマートフォン版、携帯版『えきねっと』でのみサービス提供している『チケットレスサービス』、『ライナー券予約』について、すべてのメールアドレスでご利用がいただけるように改善しました」という。

えきねっとだけの問題ではない

だが、「えきねっと」の抱える課題は、国鉄以来のマルスシステム自体が抱える課題にもかかわってくる。それゆえに上記のサービス改善も、「えきねっと」のシステムのみで解決する部分で行われている。太田さんは「システムが巨大すぎて手をつけられない」と語る。

「予約の仕組みが開放されてもいないし、標準化されてもいない」と太田さん。「えきねっと」の抱えるさまざまな課題に対して太田さんは「昔のものを引きずっている」と指摘し、「中の人は歯を食いしばっても直すべき」と厳しい評価をする。

現行のマルスシステム「マルス501」は、2002年10月から稼働し、いまも使い続けられている。その間にJR各社はさまざまなネット予約システムをつくり出し、きっぷの仕組みはより複雑化した。「えきねっと」やJR各社の予約システムとマルスシステムとを合わせた改善を、JR東日本と各社には検討していただきたい。それだけ予約システムは利用者にとって複雑なのだから。

小林 拓矢 フリーライター

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こばやし たくや / Takuya Kobayashi

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道・時事その他について執筆。著書は『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。また ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に執筆参加。

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